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新年の出来事 #1 side Y

「約束の日は明後日。」 冬真は帰り道にそう言った。 しかし、結局、翌日も呼び出され、冬真はいそいそと実家へ出掛けて行った。実家で一体何をしているのか全く知らない俺は、一人萱の外で正直あまり良い気はしていなかった。しかし、それに反して、冬真は徐々に元気になっていき、帰宅する度に嬉しそうな表情を見せた。表には出さないものの、俺は内心ますます不機嫌になっていった。しかし、そんなに体力を消耗することをしているの?と言いたくなるほど、食事中に船を漕ぐことが多くなった冬真の可愛らしい姿を見る度に、子供のような嫉妬心から解放され、荒んだ心はリセットされていた。 そんなことの繰り返しで大晦日まで過ごし、とうとう新年を迎えた。新年といっても、俺達は普段と変わらなく過ごす。去年までの冬真の状態では、初詣の参拝客で溢れる神社に行くことは危険が伴うし、雑煮の餅を食することも危険が伴った。だから、今年も冬真のしたいことをして、二人で穏やかに過ごすつもりでいた。しかし例年、兄の家族と共に新年を迎えていた両親から、今年はこちらで新年を迎える予定なので、二人で新年の挨拶に来るように言われた。 普段通り、冬真の身支度を手伝っていると、母さんが早々にやって来た。 「随分早いんだね?ちょっと待ってて。支度するからさ。」 「お前はいいの。冬真は?支度終わってる?」 「ああ。終わってるよ。」 そこへ冬真がリビングから顔を出した。 「冬真、おはよう!じゃあ、お母さんと一緒に行こうか?」 「えっ?一緒に行くからいいよ!」 「いいの。冬真は先に連れていくよ。お前は1時間後に来てちょうだい。」 何だよ...それ...... 毎日のように冬真を独占され、二人の時間も満足に取れない俺は、怒りの感情がフツフツと沸き上がっていた。冬真はそれをいち早く察した。 「おかあさん...まって...て...」 冬真は母さんにそう告げると、俺の手を取り、玄関から寝室へと連れ出した。ドアを閉めるなり、冬真は俺にキスをした。 「冬真?」 驚きを隠せない俺の頬を、相変わらずの冷たい両手で包みながら言う。 「さびしいね...いやだね...ごめん...かえったら...ぼく...ようすけの...うでのなか...ずっといる...だから...いかせて......」 よく考えれば、冬真の話し方も滑舌も、ここ何日かで相当良くなった。これも、実家通いのお陰なのかもしれない。 「わかったよ...だけど...もう一回キスして...冬真を...少し...チャージさせて...」 「うん...ようすけ...だいすき...」 「俺も...」 俺達はもう一度キスをした。 さっきとは違う... 深い...深いキスを......

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