186 / 258

1月16日 #3 side T

「あん...ぁん...ようす...け...あぁ...ん...」 「......」 「もぅ...ダメ......おかしく...な...る...」 「はっ...はっ......どうして?どうして...んっ......おかしくなるの?」 「だって...ああん......」 「言って...冬真......」 僕の誕生日から日付が変わるか変わらないかという頃、葉祐に体を組み敷かれ、今に至る。時間が曖昧な理由は、店の手伝いで疲れ、僕は先に寝てしまったいたから… 体に電流が流れるような感覚を感じて、意識が徐々に覚醒していった。気が付けば、僕の遠慮がちにある小さな胸の頂を葉祐は口に含んでいた。僕はそこでやっと、組み敷かれたのだと気が付いた。 「ようす...け?」 「冬真...ごめん...いいかな?どうしても...我慢出来なくて...」 「うん......でも...どうしたの...?」 僕の言葉を確認すると、葉祐は僕のズボンと下着を一気に下ろした。 「あっ......」 露になった下半身に、葉祐は快楽を植え付けていく。僕の体を知り尽くした葉祐は、的確に僕に快楽を与え、徐々に高みに近づける。 どうしたの......葉祐...... 葉祐がこんな風に僕を早急に求めるのは初めてのことだった。葉祐はいつも僕に気を遣いすぎる。こと、体を重ねることに対しては特に。『抱きたい』の一言を言うのにも、自分の欲望を極力抑え、僕の様子を伺いながら言う。僕の体調、心の状態を最優先し、細心の注意を払いながら僕を抱く。そんなに気を遣うこともないのに...葉祐が僕を求める度にそう考えていたけど、いざ、見慣れない葉祐の姿に正直戸惑った。いつもは葉祐の指で解される、彼自身を受け入れる僕のその場所を、今日の葉祐は自身の舌で解した。 「いや...ようすけ...やめ...て...」 返事はない。その代わりに葉祐は、僕の腰を持ち上げ、足を大きく広かせた。丸見えになった僕のそこを、葉祐は更に刺激を強く与えるように舌を這わせ舐め続けた。 「あん...あっ...ん...ダメ...」 腰を持ち上げられ、そこに顔を埋める形になった葉祐の顔が近くに見えた。快楽の波間に揺られながらも彼を垣間見れば、やっぱり今まで見たことのない顔だった。いつもの優しい、穏やかな葉祐はここにはいない。男の色気を纏い、本能を剥き出しにした雄の顔...そんな野性的で狂気的な姿が全面に現れていた。 「もう...ダメ...あん...イ...ク...」 今まで感じたことのない新しい快楽によって、僕は呆気なく果て、胸元まで開けられていたパジャマの上身衣を盛大に汚した。動揺する僕に対し、葉祐は冷静にそのパジャマを剥ぎ取り、今度は胸を啄み、愛撫する。繰り返される胸の愛撫と、その愛撫により、再度そそり立つ僕自身への愛撫で、僕はまたも果てる。いつもなら僕の体を気遣って、僕が快楽を吐き出す度に休憩を挟む葉祐が、今日は休む間もなく、僕のなかへと入ってくる。穏やかなものから始まった律動は、すぐに早いものに変わる。 「あっ......あん...はぁ...あん...ようすけ......あぁん...」 「うっ......あぁ...たまらない...気持ちいい...冬真の...このなかに入れるのは...俺だけた...」 葉祐がそう呟いた。それから間もなく、僕達は一緒に果てる。 朦朧とする意識の中で、今日は何度快楽を吐き出しただろうか...白濁しているそれは、もうすでに透明になっているかもしれない...そんなとりとめのないことを考えていると、葉祐が再び僕のなかに入って来た。 「あっ......」 そして、今まで与えられたこともない躍動的な早い律動を与えられ、 「あん...ぁん...ようす...け...はぁ...ん...」 「......」 「もぅ...ダメ......おかしく...な...る...」 「はっ...はっ......どうして?どうして...んっ......おかしくなるの?」 「だって...ああん......」 「言って...冬真...」 「だって...あん......こんなの...はじめ...」 「ダメだよ...冬真...言ってくれるまで...はっ...んっ...それから...冬真の体が俺を覚えるまで...」 「...えっ...?あぁ......」 「今日こそはお前の体に俺を覚えせる。お前は...俺のものだと...」 更に強くて早い律動に襲われ、僕はまた果てる。 意識はもうすでに消え入る直前で、それでも葉祐の言葉の数々が引っ掛かり、ずっと模索していた。 冬真のなかに入れるのは俺だけ 冬真の体が俺を覚えるまで 冬真は俺のもの これらは全て葉祐の独占欲の現れだ。葉祐の僕に対しての独占欲はとても強い。それはまるで子供のようで、斎藤さんからしばしば叱られていた。しかし、ここまで露にするのは珍しい。 ああ...そうか… 今日は葉祐の独占欲に火を着けた何かがあったんだね... 心配しなくても...僕は葉祐のものなのに... 今日は何があったかな...順を追って考えたいけど...もう無理みたい... 瞳を閉じる直前に...葉祐が僕自身を口に含んでいる姿が見えた。 ごめんね...応えてあげたいけど... 本当に無理みたい... 明日...落ち込まないと良いんだけと...

ともだちにシェアしよう!