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断言 #1 side Y

二人だけの飲み会が幕を開けた。 メラミン樹脂製のマグカップに、たっぷりの氷と半分ほど入れた琥珀色の飲み物を差し出すと、冬真はそれをまじまじと見つめた。 「梅酒のロック。飲んだことない?」 冬真は頷く。 「そっか。冬真には一番飲みやすい酒だと思うよ。じゃあ、乾杯。」 乾杯の後、冬真は恐る恐る梅酒を口に運んだ。一口飲むと、ぱぁっと表情が明るくなった。もう一度、自分の手中にある梅酒を見つめ、そして、俺を見つめる。その表情だけで、それが好みの味なのだど分かる。 「旨いか?」 冬真は何度も頷いた。その姿が本当に本当に可愛らしい。 「でも、アルコールの度数は高いからさ、一気に飲んじゃダメだぞ。」 冬真が二口目を口に含んだ時、心地よい風がリビングに入り込んで、冬真の髪が微かに揺れた。久々の外気を堪能するかのごとく、冬真は静かに瞳を閉じた。 綺麗だな... 心からそう思った。 「冬真...外は嫌いか?」 冬真はゆっくりと瞳を開け、悲しげに俺を見つめ、首を横に振った。 「じゃあ...怖い?」 『すこし』 と唇が動いた。 「そっか...これからは休みの前日に、こうして窓全開にして、星を見たり、月を見たりしながら、色々な話をして、二人で飲み会しようか?そして、少し慣れたら、二人で散歩にでも出掛けようっか。」 俺の言葉に、冬真の表情が徐々に曇っていく。 『ぼく...めんどう...』 唇が告げる。 「そんなことないよ。」 『れすとらん...めいわく...』 「あの日、お前は俺のために、あのレストランに入ってくれたんだろ?」 あの日...冬真が好きではない外食を希望したのは...俺のため。俺にハンバーグを食べさせたかったから... 『でも...』 「確かにお店には迷惑を掛けたけど、それは冬真のせいじゃない。むしろ、冬真は努力賞だよ。悪いのは俺。冬真の努力に早く気が付いてやるべきだったのに...気が付いてやれなかった。ごめん。」 『ようすけ...やさし...ぼく...』 そう唇を動かしたきり、俯いてしまう。 その後、どういう言葉を紡ごうとしたのか、何となく想像が出来た。 「冬真、俺を見て。」 俺は冬真の顎に手を添え、持ち上げる。アンバーの瞳が、手元にある梅酒と同じように揺らめいていた。 「俺は冬真を愛している。心の底からね。だから、お前のことを面倒だとか、迷惑だなんて一度も考えたこともない。それは冬真が冬真であることに、何ら変わりないから。でも...そんな俺が冬真の負担になっているのだとしたら...悪い…そこは諦めてくれ。俺はお前を手放す気は一切ないし、それに...これが俺の愛し方なんだ。」 梅酒を一気に口に含むと、冬真の唇に唇を重ね、口移しで冬真にそれを分け与えた。

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