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しあわせの歌 side T
口移しに与えられた梅酒を一気に流し込んだ。
唇から葉祐の感触がなくなり、寂しさを感じて瞳を開ければ、彼の美しい漆黒の瞳に深いグリーンが挿した様に見えた。
この色の瞳をしている時
彼は...
僕を欲しいと思っている。
だから...僕は..
.
また...瞳を閉じる。
灯りが消えた気配がした。
僕の体はラグマットへと沈められ、あっという間に一糸まとわぬ姿にされる。息継ぎさえも許されないキスを何度も繰り返し、次第に葉祐の唇は下降する。
唇から首筋、そして胸へと...
葉祐が僕の胸を啄んだ。その甘美な電流は全身を駆け巡る。
「ふぁ......」
声の代わりに小さい吐息を漏らすと、彼は普段の優しいものとは全く違う表情で、僕を見つめ、そして、また愛撫を続ける。適度につけられた筋肉と、しなやかな体で激しく僕を求める葉祐は、本能を剥き出しにし、同時に男の色気を解放していた。
そんな彼を僕は…本当に美しいと思っている。
もっと見せて...
本能と色気を解放した君を…
美しい...君の姿を......
快感の海にたゆたいながらも葉祐の美しさを求めた僕は、彼の胸を指で摘まんだ。彼は短い言葉を漏らし、それから、愛撫は一層激しくなった。快楽と吐息を紡いでいくその愛撫は、僕を一歩、また一歩と次第に極みへの階段を上らせる。
彼を受け入れたい...
そう強く感じたとき、彼が僕の中に入ってきた。
あぁ......熱い...
「あぁ...冬真...」
応えるように彼の髪を手で梳くと、
「綺麗だよ...本当に...」
葉祐は笑う。
やっぱり好きだな...葉祐の笑顔。
『動いて...』
唇で彼に知らせると、葉祐は一瞬驚いたような表情をし、その後、また一つ深いキスを落とした。
「もう...お前には勝てないな...」
葉祐はゆっくりと僕の中に自身を刻み始めた。緩やかだった律動は、徐々に早まり、すぐに激しいものへと変化していく。
「冬真...冬真...あぁ...堪らない...」
途中、葉祐が切なそうに僕の名前を呼びながら、何度も快楽の言葉を漏らした。
『葉祐...葉祐...』
僕も心の中で何度も愛しい名前を呼び続けた。
「あぁ...冬真!」
葉祐が一層切なさそうに僕の名前を叫んだ。同時に...
ドクンドクン...
葉祐の欲望が僕の中に注がれ、葉祐は崩れる様に僕の胸に倒れ込んだ。
「ごめん。」
しばらくして、僕を見上げながら、葉祐がポツリと言った。
『どうして...』
唇で尋ねる。
「ほとんど床に伏せていたのに...こんなことさせてしまって...」
先程の本能や色気はどこへ行ったのやら、葉祐はすっかり叱られた大型犬のようで、ちょっと可愛かった。
『葉祐...もう一回...』
「えっ?」
僕の唇の動きに、葉祐は小さく絶句をする。
「でも......」
『葉祐が一回で済むわけないでしょ?』
僕の唇を読んだ葉祐は苦笑する。
「やっぱり...お前には敵わないや...」
そう言って、葉祐はまたキスを落とす。それもまた、深くて長いものに変わる。
『俺はお前を手放す気は一切ないし、それに...これが俺の愛し方なんだ。』
葉祐が言った言葉が頭の中を去来していた。それは徐々に、言葉から歌に変化していく。世界で一番幸せで優しい歌に...
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