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第11話
放課後、マ〇クで軽食を摂りながら、いつものように授業の話しや透流がハマっているゲームの話しを聞き流していると、隆都が俺の方に顔を向け問いかける。
「それで?西條が言ってたのは本当なの?」
その問いに一瞬頭にクエスチョンマークを浮かべ、「あぁ昼休みのアイツか」と思い返す。
そういえば今回の寄り道の趣旨はその話をすることだったな。いつものように透流のマシンガントークに付き合っていたら忘れかけていた。
「なんとなくそんな気がしてたけど、鈴って西條たちの名前知らないの?」
「えー!?そーなの?」
騒がれてるからなんとなく知ってはいるが、名前と顔がはっきりわかるかと聞かれれば答えは否、だ。正直興味ない。
それがなんとなく予想がついていたようで、隆都は「やっぱり」とでも言いたげな顔でため息をつきながらバーガーを口に運ぶ。
「えっとねー、みーんな僕たちと同じ1年生で、昼休みに購買部で会ったのが西條来樹くん、茶髪の背が高~い人が松永聖也(まつなが せいや)くん、ちょっと背が低めなのが久保田海(くぼた うみ)くんで、そして黒髪の、、、
「黒髪のヤツが谷ヶ野涼、だろ。そいつならよく知ってる。名前も、誕生日も、血液型も。なんなら耳の後ろにホクロがあることまで。」
四天王のことをいまいちよく知らない俺のために紹介してくれていた透流の言葉を遮る。
「まじか。」
「まじ。」
目を見開いている二人。そのアホずらを写真に収めようかと思ったがブラック隆都の餌食になりそうなので止めておく。
「じゃー、やっぱり涼くんと兄弟なの?」
「元、な。」
「双子?」
「だったな。」
「なんで過去形なの?」
「いろいろあって俺が家出した。」
だから今まで兄弟って言われても否定してたんだね。という隆都に頷く。
実際に違うからな。嘘はついてない。
「あの家とはもう縁切ってるからな。だからアイツとはもう兄弟じゃねぇよ。同じ血が流れてて顔が似てる、ってなだけで今はただの他人だ。」
ふーん、と頷く二人。
そして、じゃあ最後に、と隆都が恐る恐る問いかける。
ーーー「谷ヶ野涼のこと、嫌い?」
「、、、別に。嫌いじゃねぇよ。」
あぁ。そうだ。確かに、アイツのことは嫌いじゃない。
そうなんだ、と頷きながらまたバーガーをかじりだす。
俺があまり突っ込んで欲しくないことに気づき、深入りせずにいてくれるこの二人の距離感に、やっぱりコイツらが友だちで良かったと思う。
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