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第12話
「やぁ〜、今日は鈴くんの秘密知れたし!嬉しい〜!」
30分程居座った店を出て、大きく伸びをしながら呑気なことを言っている透流と、少し眠そうな隆都と一緒に駅の方へ歩く。
しばらくして、俺のスマホのバイヴが鳴りポケットからスマホを取り出すと、何故か隣にいたやつの歩みが止まる。
「あれ?」
「あ?」「何?」
首を傾げる隆都に、俺たちは立ち止まって振り返る。
「保護者。鈴の保護者って?」
昼休みに保護者って人から連絡来てたよね?と。
あ、確かに。鈴くん家出中だよね?じゃあ、誰?と。
「そりゃ、俺は未成年だからな。保護者くらいいるさ。」
まぁ、そりゃそうか。と二人が声を揃えた。
「じゃ、またな。」
電車に乗るため駅へ向かう二人にいつもの場所で分かれを告げる。俺は電車に乗らないからここでお分かれだ。
「え、待って!それだけ!?」
「どーゆう人か教えてくれないの?」
*
「ただいま」
「おう、おかえり」
「っ!」
誰もいないと思いながらした挨拶に返事があり驚く。
声がした方に顔を向けると、キッチンからひょこっと顔を出す男がいた。
「なんだ。帰ってたのか。」
「あぁ、定時退社だ。」
4月から今日までの約2ヶ月間、会社に寝泊まりしていたこの家の主。
たまに付き人(幼馴染らしい)のような人が俺が居る時間に家に来て、その人を通して互いの近況は軽く報告し合っており、「アイツは今大事な案件を抱えていて忙しい」と聞いていた。
どうやらその大事な仕事は一段落したらしい。
「俺より帰りが遅いってどうゆう事だよ。」
「ダチとマ〇ク行って来た。」
「あ?俺今日から居るって連絡入れたろ。飯作ってんぞ。」
「食べる」
コイツが居るってことは飯が準備され、一緒に食うってことで。昼休みに連絡が入っていたから店では小腹を満たす程度に抑えた。
ーーー拗ねられても面倒だし。
「おい、今失礼なこと考えてただろ。」
「別に」
久しぶりに会ったのにも関わらず、相変わらず鋭いコイツに適当に返事をし自分の部屋に入り、学校の鞄を置いて制服から部屋着に着替える。
またキッチンへ行き、手を洗いながら「手伝う」と言うと「おう」と頬を緩ませて言うコイツ。
この男が傍にいて落ち着くのは、
「真尋」
「あ?」
「おかえり」
結城真尋(ゆうき まひろ)。21歳。職業不明。厳つい顔に似合わずお節介なこの男が、
「あぁ、ただいま」
俺の保護者だからだ。
*
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