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第53話
稔side
部屋まで送ってくれるというのを断るのも…。心が痛んで送ってもらったのはいいけど、普通に歩けるし…。
「稔さん、辛かったらちゃんと頼ってくださいよ…。なんで、そんなにしっかり歩けるの?」
「だから、言ったでしょ。一人で大丈夫だと」
「いや、言ってたかも知れないけど…。熱が、ある人を一人にするのは違うでしょ…」
グダグタ言いながらついてきて、部屋に入ろうとしてくる。それを止めて、帰れと言った。
「ここまででいいです。授業に戻りなさい」
「は?何言ってるの?」
「私は一応貴方の先輩です。一応敬語を使いなさい。私は怒りませんが、それで怒る先輩もいます。その人達にはちゃんとした言葉遣いを…」
あ、目が回る……。グラッと体が揺れて…、目の前が一瞬、真っ暗になる…。
慌てて壁に手をついたが、熱のせいもあって、手が滑った…。体も重くて怠くて、床に膝から崩れ落ちた…。
「稔さんっ!!だから言ったでしょ!無理するのよくないって。ほら、ベットまで行きますよ」
「大丈夫です…。帰りなさい」
「嫌です。そんな格好で言われても説得力が全くないです」
確かにそうかも知れない。でも、こんな弱った姿誰にもみられたくなかった…。
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