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第55話

稔side ぼんやりしてて、そのまま食べてしまった…。 "あーん" なんて恥ずかしいこと、普段なら考えられないのに…。熱があると思考回路がぼんやりするから嫌だ…。 「ふー、ふー……あー、ん」 「あ……ん。もぐもぐ……」 「美味しい?熱くない?」 「…はい」 身体を動かすのも怠いし、食べさせてくれるのは正直とても助かる…。たまには甘えてもいいだろうか。 ぼんやりした思考の中そんな事を思い、冷夏に甘えた。冷ましてくれるから、食べるときの温度も丁度いいくらいで美味しかった…。 「熱あると甘えたになるんですか?」 「ん……、喉、乾きました…」 「はい。スポドリです。飲めますか?」 「飲ませて……」 熱で怠いときでも、誰も看病なんてしてくれなかったから、一人で色々準備したりして大人しくしてた。 一度甘えてしまうと、たかが外れてしまったみたいで、甘えたくて仕方ない。食べさせてもらうの、凄くいいなぁ…。もう指一本も動かしたくなくて、"飲ませて" なんて図々しい事を言ってしまった…。 「少しの間、口開けててくださいね…」 「うん…」 「んっ…んっ……んっ……」 「んっ……コク、コク…。んっ……ぷはっ…。びっくり、した……」 冷夏は口移しで飲み物を飲ませてきた…。急だったからびっくりしたけど、風邪が移ってしまわないか不安になった…。

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