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第56話

稔side 口移しで飲まされて風邪が移ってしまわないか不安だった…。そんな不安か瞳に映ったのか、冷夏は頭を撫でながらいった。 「俺、体丈夫な方だから。風邪移るとかそんなことは心配しなくていいよ」 「うん……冷夏…、もっと、ちょうだい……」 「はい…」 冷夏から口移しで飲まされるスポドリは冷たいけど後の方になると少しぬるくなる…。心地いい…。何でだろ…… 「お薬飲んで少しねんねしよっか……」 「うん……」 「自分で飲めそうですか?」 「飲ませて……」 看病された記憶はほとんどない。両親は忙しい人だったし、兄弟は僕が風邪をひくと、みんな逃げるように部屋に戻ってたから……。 看病されるのってこんなに楽なんだな…。愛されてるのかと勘違いしてしまいそうで怖くなった。そのせいか急に涙が出てきて…。自分の意思では止められなかった…。 「ひぐっ……ひくっ……」 「え?…み、稔さんっ!?な、何で泣いてるんですか…?」 「ひくっ、ひくっ……うっ……。りょ……」 こんなに不安定なの初めてで、思わず幼馴染に助けを求めてしまった…。彼だけが、僕の不安定な理由を知ってるからだ。

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