陵樹side 冷夏から急に連絡が来て、急いで稔の部屋に来て欲しいと言われた。何があったのかは分からないが、かなり不安そうな声だっだ。 「急に何があったんだ？」 「急に呼び出してごめんなさい。稔さんが急に泣き出しちゃって……。会長のことを呼んでたので……」 「そうか」 その声はどこか悔しそうで、脈ありなんじゃ無いかと思った。それと同時に、だから泣き始めたのかと思った。 「ひくっ、ひくっ……うっ……。りょ……」 「俺、帰るわ。多分、今の稔にはお前が付いていてあげるべきだと思う」 「でも、俺っ……」 「大丈夫。きっと、大丈夫だ」 稔は愛されて来なかった訳じゃないが、自分に自信がなさすぎて、"こんな自分が愛されるわけない" と、殻に引きこもってしまっている。 そのせいで、今まで人からの愛情をうまく受け取れなかった。それが今、初めて受け取ったから混乱してしまっているのだろう…。 「稔のそばに戻ってやれ」 「…はい」 不安そうにしながらも、稔の事を支えたいと思っているのか、戻っていった。