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第59話
冷夏side
溜め込み型だろうなぁって思ってたけど…。
稔さんは、俺が思っていたよりも溜め込み型でまたそれが表に現れない人だった…。
幼馴染である会長ですら、注意深く見ないと、分からないらしい…。俺も、ちゃんと気づいてあげられる様になりたい…。稔さんとなら、俺は変われる気がする。
「ここまででいいです。授業に戻りなさい」
「は?何言ってるの?」
見た目では全然体調が悪そうに見えなかったけど、保健室まで送ると結構な高さの熱が出ていて…。部屋まで送ったところ、帰れと言われて思わず素が出てしまった…。
「私は一応貴方の先輩です。一応敬語を使いなさい。私は起こりませんが、それで怒る先輩もいます。その人達にはちゃんとした言葉遣いを…」
文句をいいながら倒れかけている…。だから、言ったのに…。そんな高熱じゃ倒れるに決まってる。もう少し素直になればいいのに…
「稔さんっ!!だから言ったでしょ!無理するのよくないって。ほら、ベットまで行きますよ」
「大丈夫です…。帰りなさい」
「嫌です。そんな格好で言われても説得力が全くないです」
稔さんも弱っているみたいで、寝る直前まで、文句を言いながら眠った…。眠った後は死んだかと心配になる程の熟睡だった……。
そろそろ起きるかなと思って見に行ってみると起きたばかりの稔さん…。驚いた様に"夕方?"
って呟いていた…。
「あっ、起きました?良かった〜。稔さん死んだように寝るからすっごく怖かったんですよ⁇何度も何度もちゃんと呼吸してるか確認したんですからね?」
「……何言ってるの…です?……私が、貴方の前で、寝たのですか……?」
「はい。それはもうぐっすり。体調も少し良くなってるんじゃないですか?」
ぼんやりしている稔さん…。よく寝てたけど、それだけでは良くならないし、とりあえず元気になるためにはちゃんとご飯を食べないと…
稔さんが寝てる間に作っておいたおかゆ。口に合えばいいんだけど…。
「お腹空きません?お粥作ったけど食べる?」
「あ、はい…。ありがと……ございます…」
「卵とネギいっぱい入れたから、これ食べたら元気が出るよっ!早く良くなってくださいね」
ベットで横になって "ぼーっ" としてる稔さん。辛くて起き上がれないのかな…?
「起きれます?」
「大丈夫です」
「ふー、ふー、まだ熱いかな……?ふー、ふーはい、稔さん。あ〜ん」
「あ……んっ……。おいし……」
咄嗟にあーんってしちゃったけど、普通に食べてくれて、こっちの方がちょっとびっくりした
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