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第80話
ヨルside
目が覚めたら、朝日が見えて絶句した…。身体は熱く、熱の時特有の怠さと頭痛…。春に電話したいが、生憎電話が机の上だった。立ち上がるとひどい目眩に襲われて、床の上を這うように進んだ
「…春、助けて……」
「っ!?ヨル??今どこ!」
「……りょ…き…………の、へ、……ぁ…」
「分かった。すぐ行く」
声が上手く出なくて、最後の方はかすれてしまった…。それでも伝わったから、良かったと少し安心する。人格は二人分あっても身体は一つだから、凄く弱くて、辛い…。
夕陽は、俺と入れ替わっているから、こんな辛い思いはしてないのだろう…。それだけ分かれば、一人でも辛くは無かった。
「…居た、大丈夫??」
「春……、へ…ぁ……。俺の……」
「ヨルの部屋まで運べばいいの?看病もするよ?一緒にいたらダメ?」
「ダメ……風邪、……うつ、…るぅ……」
「でも…」
「いらなっ……。ひとり、………へ、き……」
陵樹さんは今日の朝、生徒会の仕事で早く部屋を出ていたから今はいない。春は、それを知っていて陵樹さんから鍵を受け取ってきたみたいだ。
自分の部屋に着いたら…、とりあえず、薬を飲んで少し横になって休もう……。
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