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第83話

ヨルside 目が覚める。春と、陵樹くんの声が聞こえる…。立ち上がろうとすれば崩れ落ちた…。 嗚呼、そうだ。俺、いま、熱があるんだった…。 ベットから落ちた音で二人が来てくれた。すごく心配してくれているみたいで、不思議な感じだ。春は良くこうして世話してくれたけど、他の人は冷たかったから…。陵樹さんもそうなんだろうと勝手思い込んでたのだ。 「なんで?」 「恋人の心配するのはそんなに不思議なこと?」 「………恋人なんて、初めてだから」 変な感じ、嫌な気分にはならないけど落ち着かない。ソワソワする…。何というか、本当に、落ち着かないから嫌だ…。早く治してしまおう…。 「早く良くなるといいな」 「…うん」 「ヨル…。夕を守ってくれてありがと。…俺じゃ頼らないか?もっと夜も、俺に甘えてくれ……」 そんな簡単に言わないでくれ…。黒い感情が心の中に渦巻く…。ずっと、幸せそうな人を恨むように生きてきた。未だにその癖が抜けない… 人に優しくされるのは慣れてないし、優しさに触れると自分が変わってしまいそうで…。つい睨んでしまう。一人でいるのが一番嫌いで、好きだ 「…寝る」 「おう、おやすみ…。ゆっくり休めよ」 「おやすみ。早く元気になってね」 「うん…………、あり、がと…」 それでも、ちゃんと二人にはお礼が言いたくて、言い慣れてなくて。言い終わってから布団を頭まで被り隠れてしまったのだった…。

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