84 / 88
第84話
夕陽side
目が覚めて、違和感に気づく。昨日の記憶がなくなっているようだ…。熱が出たんだ……。熱が出るといつも記憶が無くなるから…。
慣れているけど、記憶が無くなるのは怖くて、熱が出た後はいつも不安になる…。
「春くん……」
「…夕?起きたか?」
「…リョウさんなの……。春くんは?…ぼく、春くんに、…あいたい、なの……。きのうの、こときかなきゃなの……」
「陵樹ー、これどこに片付けるのー?…あ、夕くん起きた?おはよー。もう熱下がったの?良かったぁ〜、ご飯食べられそう?」
リョウさんちょっと不機嫌そう…。なんでか分からないけど、不機嫌なのは嫌だなぁ…。悲しくなってきて涙だ溢れそう……。
不安な事がいっぱい……。どうしていいのか…、ついに涙が溢れてしまった…。二人はびっくりしていたけど、僕にも何故泣けてくるのか分からなくて…。怖かった……
「どうしたの??どこか痛いの?夕、泣かないで…?ね?……よしよーし…」
「夕、どうした?何があった??」
「……リョウさ、…グスッ………きげん、わる、い……いやぁ…ヒクッ……うわぁぁん…」
「俺が…?…嗚呼、すまない。春のことばかり呼ぶから嫉妬した…。怖がらせてごめんな…」
リョウさんの手、あったかい……。頭、撫で撫でされるの好き………。だんだん気持ちも落ち着いてくる…。いつのまにかリョウさんに抱きしめられていて、春くんは僕のそばに座っていた…。
「落ち着いたか?」
「熱が出るといつも記憶なくなっちゃって不安なんだよね…?大丈夫だよ……体調良くなって良かったね…」
「うん……ふたりとも、ありがと、なの…」
「夕、明日水族館に行かないか?」
「…いいの?」
「嗚呼」
「…いきたい!」
熱が下がったばっかりだから、今日はゆっくり休んで、明日、水族館に行くことになった。春くんは『デートの邪魔しちゃ悪いから』って言ってた。だから、リョウくんと二人で行く!
楽しみで、夜寝つけそうになかった
ともだちにシェアしよう!