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第84話

夕陽side 目が覚めて、違和感に気づく。昨日の記憶がなくなっているようだ…。熱が出たんだ……。熱が出るといつも記憶が無くなるから…。 慣れているけど、記憶が無くなるのは怖くて、熱が出た後はいつも不安になる…。 「春くん……」 「…夕?起きたか?」 「…リョウさんなの……。春くんは?…ぼく、春くんに、…あいたい、なの……。きのうの、こときかなきゃなの……」 「陵樹ー、これどこに片付けるのー?…あ、夕くん起きた?おはよー。もう熱下がったの?良かったぁ〜、ご飯食べられそう?」 リョウさんちょっと不機嫌そう…。なんでか分からないけど、不機嫌なのは嫌だなぁ…。悲しくなってきて涙だ溢れそう……。 不安な事がいっぱい……。どうしていいのか…、ついに涙が溢れてしまった…。二人はびっくりしていたけど、僕にも何故泣けてくるのか分からなくて…。怖かった…… 「どうしたの??どこか痛いの?夕、泣かないで…?ね?……よしよーし…」 「夕、どうした?何があった??」 「……リョウさ、…グスッ………きげん、わる、い……いやぁ…ヒクッ……うわぁぁん…」 「俺が…?…嗚呼、すまない。春のことばかり呼ぶから嫉妬した…。怖がらせてごめんな…」 リョウさんの手、あったかい……。頭、撫で撫でされるの好き………。だんだん気持ちも落ち着いてくる…。いつのまにかリョウさんに抱きしめられていて、春くんは僕のそばに座っていた…。 「落ち着いたか?」 「熱が出るといつも記憶なくなっちゃって不安なんだよね…?大丈夫だよ……体調良くなって良かったね…」 「うん……ふたりとも、ありがと、なの…」 「夕、明日水族館に行かないか?」 「…いいの?」 「嗚呼」 「…いきたい!」 熱が下がったばっかりだから、今日はゆっくり休んで、明日、水族館に行くことになった。春くんは『デートの邪魔しちゃ悪いから』って言ってた。だから、リョウくんと二人で行く! 楽しみで、夜寝つけそうになかった

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