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チンさんの秘密

 通学中は不用意にチンさんの話はできなかった。こんなアホみたいな現実を知られてしまったらケンジの残りの2年9ヶ月の高校生活が地獄と化す予測は容易かったからだ。  朝、教室に入ってクラスメートに挨拶をして荷物を置いて、教科委員に課題を提出すればケンジはアキと2人きりになれる場所へアキを引っ張っていった。  キョロキョロと最大限に警戒しながらケンジとアキがたどり着いたのは、特別教室棟の最上階にある「物理準備室」と書かれた教室だった。ここは鍵が壊れている上にほぼ粗大ゴミ置き場になっていて出入りする者は誰もいなかった。それに物が多くて声もこもりやすいので、機密事項を話し合うにはうってつけの場所だ。 ドアを閉めると、電灯もつけずに薄暗い中、2人はホコリかぶった古い職員用の椅子に腰をかけて向き合い話を始める。 「アキ、何でチンさんと話ができたんだよ。俺、チンさん出してないのに」 「あー…それはチンさんから説明してくれよ」  気まずそうにアキがそういうと、ケンジの股間は急にモゾモゾと動き出した。アキはそれに気がついて無遠慮にチンさんを取り出す。社会の窓からひょっこりとチンさんは顔を出した。 「さっき教えただろうが、顕孝」 「いや…俺から言ってケンジに嫌われたらいやだ。死ぬ」 「それ今更すぎじゃねぇか?まぁいいや」  チンさんは少し「はぁ」とうなだれると、ケンジの方に尿道口を向けた。いきなり目があったケンジは肩をビクッと震わせる。この状況になって半日以上経ったがまだ順応できない。 「俺とアキはテレパシーで繋がっているんだ」 「え…ええ⁉︎ チンさん、そんな超能力が使えるの⁉︎」  もう色々と論点がズレているが仕方がない。そしてそんなバカバカしい疑問にチンさんは真摯に答える。 「超能力じゃなくてな、ケンジの精液に秘密があるんだ。お前の精子のアクロソームには特殊な能力が備わってて、お前の精液を体内に大量に摂取すると俺と精神的に繋がることが可能になるらしい。俺も半信半疑だったがアキがそれを証明してくれた」 「ちょっと待って!じゃあ何で俺はチンさんのテレパシーが届かないんだよ!」  当然の疑問をぶつければチンさんは「うんうん」と頷く。  「お前は体内で形成してるだけで摂取をしていない。仮にお前が彼女でも作ってセックスで中出しでもしてりゃ、その彼女とも俺はテレパスできるかもしれねぇってことだ。ま、これはあくまで仮の話だから、その嫉妬オーラを仕舞え顕孝」  チンさんは奥歯をギリギリと噛みしめるアキの方を向いて諌める。 「じゃあ俺も精液を摂取をすればチンさんを一々出さずにチンさんと話ができるってこと?」  首を傾げながらケンジがそんなことを言うと、アキの理性の糸はプッツンと切れた。 「ケンジ、じゃあやってみようか」 「へ?」 「お前にもテレパスできればチンさんをこうして出す必要がないだろ?」 「いや…そもそもチンさんとそんなに話したいと思わない」  グイグイとアキが迫ってくる。アキの影に覆われてチンさんも少しビビって震える。 「おい顕孝、ここ学校だろうが!」 「そうだよアキ!それにもうHR始まるよ!」  チンさんと一緒にケンジはアキを抑えようとするが、体格差にケンジは勝てなかった。もちろんチンさんはそんなもやしっ子のチンコなので勝てない。 「無理、ごめん、我慢できない」

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