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第35話

景と会った後、翔平と二人で飲みに行く事になった。 景も誘ってみたけれど、仕事で都合が合わなかったから少し残念。 景に、俺たちの事を話してもいいよと許可が出た。 この前、翔平に嘘をついて映画に行った事は秘密にしておくけど。 翔平はきっと、俺たちが水面下でそんな風になっているなんてまさか思っていない筈だから、言ったらきっと驚くだろうなとワクワクしていた。 * * * 「え!そうなの?! 二人で会ってんのー?!」 いつもの行きつけの飲み屋の薄暗い個室の中で俺が告白すると、案の定、ものすごく驚かれた。 お腹が空いていた俺は、シーザーサラダをうさぎのようにむしゃむしゃ食べながら頷いた。 「俺もこんな仲良くなるなんてビックリしたんよ。芸能人だからって最初はビクビクしてたけど、なんだか景と波長が合うっていうか、一緒にいてすごく楽やねん。あっちからよく電話もしてくれるし」 「ヘェ、あの景がねぇ……」 翔平は目の前のビールをしばらく見つめた後、グイッと勢いよく飲み干してニンマリした。 「修介、相当気に入られてんね」 「ん?」 「前も言ったと思うけど、景、芸能界入ってからあんまり人の事信用できなくなっててさ。今更自分で一から友達作ろうって思ってないって前言ってたから、修介の事誘ってくるなんて、よほど気が合って好かれてる証拠だぜ」 「そ、そうなんかなぁ……?」 俺が女の子だったら彼女にしてたかも、と言われた事はなんだか小っ恥ずかしくて言えそうにない。 「スゲー事だよ!また会う約束してんだろ?」 「うん。今度は景の家行く事になって」 「ヘェー……って、家?!」 多分、芸能人の家と自分の家とのギャップに激しく落ち込むのが目に見えているけど、楽しみにしている。 「景の家なんて俺でもまだ行った事ねぇよ!てか、なんで俺を誘わないわけ?!」 「あ、ヤバ。家行く事は翔平に秘密ねって言われてたんやった。なんか……色々と煩いからだって」 「チッ!あのヤロ〜……」 翔平の舌打ちを聞いて笑っていると、テーブルの上に置かれた俺のスマホがブルブルと振動し始めた。 もしかしてこれは…… 画面を覗くと、予想通り藤澤 景の文字が。 俺は翔平に一言断ってから電話に出た。

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