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第63話

「そういえばさっきの旅行の話で思い出したけど、来月だっけ?地元に帰るの」 「あー、うん。下旬に帰ろうと思ってて。高校の友達で集まるんよ」 「楽しみだね。みんなと会うのは久々でしょう?」 「うん。去年のお正月、成人式で二人だけは会えたけどそれ以外は卒業以来会ってなくて。この間この事で友達から連絡来たんやけど、その人とも話すのは四年振りで。凄く懐かしかった。その人が今度こっちに来る用事があって、俺の家に泊まる事になったんよ」 「そう。じゃあ久し振りに会えるんだね、その友達と」 「うん。また会う事になるなんて不思議な感じや。もう連絡なんて取らないと思ってたし」 「どうして?」 あ、ヤバ。つい口が滑ってしまった。 まさか瞬くんと付き合ってたからなんて景に言えるわけない。 「……あ〜、高校ん時、喧嘩してちゃんと仲直りせんまま卒業したから、もう連絡無いなぁと思うてたんやけど、急に来たからビックリしたんよー」 「そうなんだ。良かったね、仲直りできて」 景はそれ以上詮索してくる事は無かったから、俺はホッと胸を撫で下ろした。 景のプロ級の魔法料理を食べ終えた後、これまた手際よく食器を片付けてくれて、何もしなくていいから、と頑なに言われたけど無理やり少しだけ手伝わせてもらった。 けれど直ぐにやる事がなくなって、仕方なくソファーに座って足を浮かせてパタパタとさせていた。 俺は景の完璧すぎる行いに嫉妬してしまう。 「景って何でそんなに色々出来るん?その、人を喜ばせる力、ホンマ天才かと思うで」 「ありがとう。人が喜んでる顔を見ると嬉しいからさ」 「そっかぁ、偉いなぁ景は。思ってる事もちゃんと口に出すし。俺はつい羞恥心が勝って口に出さへん事が多いけど……」 例えば、景の事が好きだという事とか。 片づけを終えた景は、クスッと笑って俺の横に座った。
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