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第68話

三月上旬。 自宅アパートの最寄駅から少し歩いた場所に建つファミレスに入ると、奥の喫煙スペースのテーブル席に座る男とすぐに目が合って、お互い笑顔になった。 小さく手を振ると、相手もよぉ、という感じで笑って片手を上げてくれた。 少し小走りで近づいて、彼の向かいの席に座った。 「瞬くん!久しぶりやなぁ!」 「久し振り。修介、なんや随分大人っぽくなったんやない?」 「ホンマ?瞬くんもなんだか雰囲気変わったね。ちゃんと話すの、四年振りだから当たり前か」 久々に見るその人は、やっぱり髪を染めていて、赤みのくすんだ茶色で煉瓦のような色をしていた。 前髪が重たく作られていて、けれど毛が細くサラサラしていて絹のよう。 片耳には小さ過ぎるけれどピアスをしていて、よく目を凝らすとヴィヴィアンのものだと分かった。 眉毛は綺麗にアーチを描いていて眉尻にかけて少しずつ細くなっているから、きっと自分で整えているのかな。 どれも高校の頃のイメージとはかけ離れていたけど、黒目がちの奥二重な瞬くんの瞳は変わっていない。 今風に言うと、瞬くんは塩顔男子ってやつだと思う。 景と瞬くんは見た目は一見クールで似てるんだけど、イケメンの系統が違う気がする。 景はライダースジャケットなんかが似合うしよく着てるから黒のイメージだけど、瞬くんは爽やかな白が似合うイメージだ。 とにかく、言えることは一つ。 (想像以上に、めっちゃカッコよくなっとる……!) 先にドリンクバーだけを頼んで飲んでいたようで、テーブルの上には空のコーヒーカップや飲みかけのジンジャーエールが置いてあった。 メニュー表を開いて二人で遅い朝ごはんを頼むと、瞬くんは俺に一言断ってタバコを吸い始めた。

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