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第109話 side翔平

「……いや、詳しくはあんまり教えてくんなくてさ。景と喧嘩になって絶交したって言ってただけ。後は……瞬とやり直そうって思ってるってよ。瞬の方からそうやって言われたみてぇだけど」 『……そう』 「あいつも落ち込んでたぜ?まぁ喧嘩するほど仲がいいっつーし、お前に嘘吐いてた事は気に入らなかったかもしんねーけどさ、言い過ぎたとか思ってんなら謝ってやれば?」 『そんなに簡単な問題じゃ無いんだよ』 「あん?何で。ごめんで済む話だろーが?」 『済まないよ。もう許してもらえないと思う』 どんだけ責めたんだよ。 景ってカッとなるとマジで怖えからな。周り見えなくなるし。 「大丈夫大丈夫〜!俺、今度飲みのセッティングしてやるから!飲みながらチャチャッと謝って仲直りすりゃあいーじゃん!」 『無理だよそんなの。ほっといてよ、僕らの事は』 景は少し声を強めて言った。 本当はお互い仲直りしたいくせに、強がってんなぁ、二人とも。 「なんだよ〜その言い方はよ〜。折角心配してやってんのによ〜」 茶化すように言ったら、すぐに諭すような声でビシッと言われた。 『翔平に心配してもらわなくても大丈夫だから。僕は僕でゆっくり考えたいし。悪いけど、今後この事で僕にとやかく言ってくるのはもう辞めてくれる?しばらくほっといてよ。じゃあ、僕もう行かなくちゃいけないから、またね』 そう言うと景はまた一方的に電話を切った。 「あっ!……んだよ、折角親切に言ってやってんのによ〜……」 俺はスマホを放り投げてベットの上に転がり、頭の後ろで手を組みながら、天井を見上げて考えた。 まぁ、時間が解決してくれるか。 正月の時も景の方から先に謝ってくれたって修介は言っていたし、真面目なあいつの事だから、俺が言わなくてもちゃんと謝るだろう。 とりあえず、当分はそっとしておくか。 それにしても、修介、本当に瞬と付き合うつもりなのかな。 ちゃんと告白もしてないのに、景の事吹っ切れない気がするけど……。 ピコン、と通知音が鳴った。 一気に気分が入れ替わり、パッとスマホを手に取り、俺は再度さとみちゃんに愛のメッセージを送った。

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