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第128話

やっぱりさっきの続きをするのかと思い、体を硬くしてしまう。 「えっ!な、何?」 「ええから、ちょっとだけじっとしとって」 瞬くんの手はどんどん上に上がっていき、俺の胸のあたりで止めたかと思うと、そのまま親指と人差し指で突起をキュッと摘んだ。 あまりにも唐突で、恥ずかしいとか認識する前に声を発していた。 「痛いッ!」 「……やっぱりな」 瞬くんはニヤリとした後、ゆっくりと俺の服の中から手を引き抜いた。 そこでようやく羞恥がやってきて、俺は顔を紅くさせる。 「なっ何してるんっ?」 「修介、今のめっちゃ優しく摘んだんやで?やっぱり俺たち、セックスの相性悪いんちゃう?」 「えぇっ?!」 まさかこれで痛がるなんて、自分の体はおかしいと言われているようなものだ。 でも、痛かった。 やっぱり俺の体ってどこか変なのだろうか? 「こんなんやと、付き合うていくのなんて大変やで。やっぱり無しや無し」 「えっ、無しって、付き合うの辞めるんか?」 「そーそー。俺もお前も、お互いを引っ張り合ってるんよ。無理やり付き合わなくても、気持ちに嘘付かなくてもええねん。修介が藤澤 景に告って振られて、完全に頭の中から消え去って、俺でいい、やなくて、俺がいい、って本気で思えるようになったら、また付き合うてやってもええで?ま、そうなるのに何年かかるかは知らんけど」 瞬くんは再度タバコを手に取り、灰を落としてから静かに吸い始めた。 その横顔を見ながら、瞬くんも本当は、嘘を吐いているのかもしれないと思った。 口ではあんな先輩の事どうでもいいなんて言ってるけど、本当の心の奥底にはまだ先輩の亡霊が住み着いているんじゃないか。 その手から逃れたくて、俺に助けを求めたのではないか。 俺もきっと、それと一緒だったのかもしれない。 「振られても、嫌われても、何でもええやん。好きならちゃんと気持ち伝えんと。いつまでもウジウジしとらんで、本音言えばええんよ。俺、修介がちゃんと藤澤 景に言えるように応援しとるから。頑張れよ」 瞬くんは優しい。 こんな俺を、応援してくれる。 またジワジワと目の奥が熱くなってきたけど、誤魔化すように目を閉じてホットジンジャーを飲んだ。 喉の奥が熱くなったけど、何度もカップを傾けて飲み干した。

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