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第132話 side瞬
修介は少し落ち着いたようで、泣き過ぎて疲れたのか眠そうにしていたからそのままベットで寝てもらって、俺は床に適当に毛布を敷いて眠った。
朝起きて一階に降りると、母は俺たちの朝ごはんを作ってくれていた。
修介を連れてくるなんて言ってなかったけど、玄関に見覚えの無いスニーカーがあったから察したらしい。
修介は『勝手に家に上がってすみません!』と初対面の母に頭を下げて謝っていた。
七福神の恵比寿様に似ている母は、いえいえ、とニコリと笑って、焼いたパンや目玉焼き、コーヒーなどをテーブルに並べてくれた。
朝食を食べ終えた後、二階に上がってテレビを見て、お昼前になってから修介はそろそろ帰るね、と言った。
家を出て、駅の方まで歩く最中、もう俺たちは昨日みたいに手は繋がなかった。
昨日の飲み屋が見えて来たところで、修介は立ち止まった。
「じゃあ、どうもありがとう……あの、瞬くん、色々と迷惑掛けてごめんね」
「こっちこそ。悪かったな色々と。無理に家に泊まらせてしまってごめん」
「いやいや、ホンマに俺が悪いねん。謝らんといてよ」
「ふっ、なんか俺たちこの前からこんなんばっかりやな。謝ったり許したり。……じゃあ、修介、元気でな。あっち戻ったらちゃんと告るんやで? で、こっ酷く振られてもうどうしようも無く立ち直れなくなったら、俺んとこ電話でもして来いよ?慰めてやるから」
「……うん。ありがと」
あれ、またそんな事言って、って怒ると思ったのに。
もしかして修介、もう無理だって本当に諦めてるのかな。
さっき、あの日の出来事を俺に教えてくれた。
藤澤 景は、俺との電話の後、修介に会いに来たらしい。てっきり電話で喧嘩になったのかと思っていたから驚愕した。
そんでもって、俺を泊めた事に怒って、こいつにキスまでしたらしい。
そんなの、俺に対する嫉妬に決まってるじゃないか。
いくらなんでも、普通来ないだろ。ただの友達に、そこまでする筈無い。
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