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第138話 side翔平

bbbbbb.... 「あ、翔平くん、電話鳴ってるみたいだよ……」 「いいのいいの。さとみちゃんの方が大事だからさ」 さとみちゃんの部屋のベッドの上で、俺はゴソゴソと怪しい動きをしながら、さとみちゃんにキスをしようとするけど。 bbbbbb.... 「出た方がいいんじゃない?全然鳴り止まないし……」 「いいんだって。気にしないで」 bbbbbb.... ……チッ!誰だよこんな時に!集中出来ねー! 「ごめん、ちょっとだけ待っててくれる?」 さとみちゃんは頰を赤らめてコクンと頷いたから胸がキュンキュンしてしまって、唇に軽いキスを落としてから体を起こした。 そしてバックの中から震え続けるスマホを取り出し、画面を覗き込む。 ……あいつは、この状況をどっかで見てんのか? この前もさとみちゃんとメールで盛り上がってた最中に掛けてきたし、わざとタイミングを見計らって電話してるようにしか思えない。 俺はキッチンの方に移動してボタンを押した。 「はーい!もしもーし!!」 半ばキレつつも電話に出ると、景はいつもとは違う調子で俺に話しかけた。 『修介と連絡が取れないんだけど』 いつもの、今大丈夫?っていう挨拶も無く、いきなりそんな事を言われたから一瞬固まってしまった。 ハッと気付いて、俺は慌てて声を発する。 「いやいや、藤澤くん。何だねいきなり?」 『今まで何度も電話してるのに電話に出ないんだよ。メールも送ってるのに返ってこないし』 「……だから、何で俺に言ってくんだっつーの」 『翔平から修介に伝えてよ。僕から話があるからって』 景はいつも自分勝手だ。 猪突猛進型で、やるって決めたら周りが何と言おうと自分の意思を曲げずにやり遂げる。 そんなの昔から知っているけど。 「なんだよ。この前は俺たちの事はほっとけって怒ってたくせによ〜!」 『今日はバイト?もし修介に会うんだったら、終わったら僕に連絡するように言ってくれない?大事な話があるからって』 「……今日はお互い休みなんだよ。確か明後日あいつと同じシフトだったから、そん時に言っとくわ」 『それだと駄目。明後日は僕は仕事で沖縄にいるから。もしかしたら直ぐに電話に出れないかもしれない。今日じゃないと駄目なんだ』 「あぁ?!今から俺が修介に連絡しろってか?やだね、めんどくせー。じゃあこっちに帰って来たらまた教えろよ。そん時までには修介に言っとくから。あいつだって予定があんだし、そのうち連絡くれんだろ」 『嫌だよ。すぐに話したいんだ。お願いだから、今から連絡してよ』 景はしつこく食い下がってくる。 いくら謝りたいからって、何でこんなに必死になってんの? そんなに修介と喧嘩した事悩んでたのか。 やっぱ景は修介の事大好きなんだな。 俺はそんな景が可笑しくって、鼻で笑ってやった。

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