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第175話*
「ッ!?」
ビクビクビクっ!と体が跳ね上がる。
耳の中に舌が入ってくるなんて、そんな体験、はじめてだった。
ヤバイ!何これ?
卑猥な音が鼓膜から脳内に直接響く。
舌を入れられた瞬間、俺の肩が丸まって体を反応させたのを見逃さなかったようで、景は意地悪く聞いてきた。
「あ、感じてくれた?」
「べっ、別に……ッ!」
すぐに片方の耳も舌でいじられて、目をギュッと瞑り体を小さくさせて快感に耐えた。
景は俺の顔をチラリと見ながら、舌先で刺激したり、甘噛みしたりしてくる。
「修介、もしかして耳弱い?」
「……別に、そんな事ないッ」
「……修介は、意地っ張りだね」
ほんとは、ものすごく弱いと気付いた。
気をどうにか張ってないと、理性が利かなくなる。
景は耳を一頻り弄ると、そのまま首筋にも舌を這わせてくる。
景の舌使いは物凄くいやらしくて、頭の中に電流が流れて、弾けた。
それ、ヤバイ。
――キモチイイ。
「……んぁ……っ!」
寝室に突然響いた甘い声。
まさか、自分が発した声だとは思わず、一瞬二人とも動きが止まる。
「えっ!あ、嘘……っ」
自分の声だと自覚すると、途端に恥ずかしくなって口を手の甲で押さえた。
景は首筋から顔を離して、俺と眼を合わせて、ギュッと抱きしめてくる。
「可愛い」
「かっ……」
「そういう声、もっと聞きたい」
「む、無理っ!」
女の子みたいな声を出してしまい、終いには可愛いと言われて、情けなくなってしまう。
なんだか、景のペースになってる。顔が凄く熱い。
とにかく、冷静にならなくちゃ。冷静にッ。
俺はグイッと景の二の腕を押して、下から見上げる形で景に問いかけた。
「あの、一つ訊くけど、景はしたこと無いんやろ?男とは」
「ん?無いよ。でも大丈夫。僕、ゲイの役演じた事のある俳優と友達なんだ」
「へぇ〜それは安心やな……って、それあんま関係なくない?!」
「だから、色々と訊いたんだって。その友達、役作りの為に色々と勉強してたから詳しくて。男同士でどうやるのかって、僕だって自分で調べたりしたんだよ」
え、景、調べてくれたの?
景が文字を打ち込んでるところを想像するとなんだか笑えてしまう。
なんて検索したのかな。《エッチ 男同士 やり方》とかかな?
「怖い?」
景は俺の顔の両側に手をついて俺を見下ろした。
ポーッと景の綺麗な顔に見惚れながら脳裏で色々と思いを巡らせる。
確かに、全く怖くないかと言ったら嘘になる。
今は気持ちいいけど、もしこの後、痛かったら?景の事、満足させられるのかな。
答えられないでいると、景は笑った。
「怖かったら無理強いはしないよ。徐々にでも大丈夫だから。もし本当に嫌だったら言って……」
「ううん、嫌じゃないで!」
傷つけたくなくて、咄嗟に彼の首の後ろに手を回した。
「俺、正直言うとちょっと怖いし、めちゃくちゃ恥ずかしいし……でも景と愛し合いたいっ!最後まで……だから、やめんでええよっ!」
俺は自分からキスを強請って、深く接吻をする。どちらからともなく唇を離すと、また強く抱き留められた。
「やっぱりやめてって言われても、もう止められないからね。最後まで修介の事、可愛がりたい」
「うん、ええよ……」
俺の返事を聞いた景は微笑して、俺の着ているシャツのボタンに手を伸ばした。
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