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第174話

ラベンダーの香りで頭がクラクラしていると、景はこちらを向いて微笑んだ。 「緊張しないで、リラックスして」 優しくそう言って俺の手を取って握ると、顔を寄せてキスをした。 初めは優しいキスだった。暫くすると、息をするのも困難なくらい、激しいキスへと変わっていた。 息を吸おうと離そうとすれば景の唇が俺のそれを塞いで、吐こうとすれば角度を変えて口内を舌で貪られた。 逃げようと上半身を仰け反らせるんだけど、俺の後頭部に景の手が伸びてきて、ガッチリ支えられてそれを許してくれない。 それでも自然と身体が後ろに倒れて来て、最終的には自分から仰向けにベッドに沈み込む形になってしまった。 「あっ……」 その弾みでギッとスプリングが鳴る。 軋む音が自分の耳にダイレクトに聞こえてきて、より羞恥心が倍増した。 キスを一旦やめた景が、俺を凝視してくる。 その瞳に見つめられて、動けなくなった。 景のブラウンの瞳を見て、綺麗だなと思ったのも束の間、今度は俺の頬から首にかけてを唇で辿るように降りてきた。 今まで景に触られた事のない場所を触れられ驚愕した俺は、誤魔化すように慌てて話しかける。 「けっ、景っ!待って、お風呂はっ?」 「終わったら入ろうね」 「汗かいて、悪いやんかっ!綺麗にしとかんとっ」 「いいよ、気にしないよそんなの」 「……あっ、電気!電気消して!」 「やだ。全部見たいから」 「なっ……」 ――修介の可愛い顔も、体も、全部。 そう耳元で優しく囁かれた後、濡れた舌先が耳の中に侵入してきた。

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