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第184話*
「体、楽にして、脚開いてごらん?」
「……うん」
俺は言われた通りに、枕に頭をつけてゆっくり膝を立てる。その左膝を景が持って、少し前へ押し倒し、脚を宙に浮かせた。
あ、来る…と思った時にはもうすでに景の手が当てられて、全体にぬめりのある液体が塗りつけられていた。
冷んやりとした感覚にビクッとする。いやらしく塗りたくる指先が、後孔へ移動した。
「んっ……」
「ちょっと、慣れないかもしれないけど、ちょっとだけ我慢して」
言葉が出ない。
ローションのおかげで、スムーズに入れられたけれど、お腹や息がとても苦しい。じんわりと額に汗をかく。気持ち良いとはまだ程遠くて、少しずつ出し入れされる指を意識して慣れようとするけど、なんだか身体中に力が入ってしまう。
そんな俺の様子を見て、景の指が躊躇して動きを控えたのが分かった。
「やっぱり、緊張してる?」
「ん、だい、じょうぶ……」
本当は物凄く緊張してる。
これからどうなっちゃうのか、少し怖い。こんなので不安になってるなんて。ちゃんと気持ち良くなって、景のモノ入るのかな。
「ちょっとだけ、動かすから」
景は奥まで入れた指を少しずついろんな方向に動かし始める。
内臓を掻き回されているようで、なかなか慣れない。
「……はぁ……っ」
ギュッと目を瞑って、苦しくてなんとか息を吐いた。
なかなか快楽が見えてこなくて焦る。
「指、ちょっと増やすから、力抜いて。痛かったら言うんだよ」
「う、ん」
指が増えて、更に息が詰まる。身体に力が入っているからか、景の指は細いはずなのに、中で動く度に関節の部分が入り口に当たって痛い。
なんで?気持ちいいはずなのに。
どうにか、緊張を解かないと誤解されてしまう。
「んん……」
「……」
景にしばらく無言で体の中を弄られた。
シーツと枕を両手でそれぞれ握って、横を向きながら目をギュッと瞑り、自分の身体と格闘していると、景の弱々しい声が降ってきた。
「痛い?」
俺は目を薄っすらと開けて景を見つめた。
景はかげりのある表情で俺を見つめていて、きっとこんな風な俺を怒っているのかと思って申し訳無くて、痛みもあるからじわじわと涙が滲んだ。
「あ……ご、ごめん、ちょっとだけ……」
景は俺の言葉を聞くとゆっくり指を引き抜いて、俺の上に体を覆いかぶせてくる。左手で頭を撫でてくれて、少しだけ出た涙を飲み込むように唇で拭ってくれる。
そのまま、俺の頬に手を添えて唇にキスをくれた。
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