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第192話
朝からハンバーグは重いかな?と少し躊躇したけれど、香ばしい匂いを嗅いだ途端にお腹がギュルルと鳴った。
いただきまーす、と手を合わせてからハンバーグを口の中へ運ぶ。
何これ。肉汁が溢れて食べ応えがあって、ソースがうま過ぎる。
一晩寝かされて熟成されたのか、ミネストローネはトマトの味が濃厚で、野菜や穀物に染み込んでいて、口の中でホロホロと崩れた。
「はぁっ、幸せやー……」
口に出してからあっ、と景を見ると、なんだか嬉しそうにこちらをジッと見ていた。
幸せって、こんな美味しい料理が食べられて?
それとも、景と繋がって初めての朝を迎えられて?
なんだか恥ずかしくて、誤魔化すようにあっという間に平らげてしまった。
景は食べっぷりの良い俺を見てまた嬉しそうに笑って、食器を片付けようと席を立った。
「あ、景はもう食べへんの?」
景は茶碗一杯分くらいのミネストローネしか口にしなかった。
「うん。僕、朝は普段食べないんだ。コーヒーかお茶だけで。でも今日は特別。だって修介と朝からこうやって一緒に食事できるなんて、嬉しくて」
ニコッと笑ってからキッチンシンクに食器を重ねてから、何事も無かったように洗い始めた。
景のそういうの、卑怯だと思う。
なんでそうやって嬉しい事を恥ずかし気も無く真っ直ぐに言ってくれるんだ。
お陰でこっちはアホみたいに舞い上がってしまうではないか。
手伝うと言っても、また跳ね除けられてしまって俺には何もやらせてくれない。
仕方なく(言い訳)、ソファーに座って、昨日からリュックに仕舞いっぱなしで見ていなかったスマホを取り出して、画面を覗いた。
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