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第193話
メッセージアプリに連絡が来ていたので、開いてみた。
一つは晴人から。来週、大学の図書館に行きたいから暇だったら付き合って、との事。
そしてもう一つは、高宮莉奈。
見慣れない文字に、誰だっけ?と一瞬だけ思考が停止したけど、そういえば昨日連絡先を交換したんだったと思い出して、メッセージを見た。
昨日のお礼と、次もよろしく、というような内容が丁寧に書かれていて、律儀な子だなぁと思いながら読み進めていくと、最後に予想していなかった事が書かれていた。
[北村さんって、彼女いますか?]
なんだかこういうの聞いてくるなんて若いなー、と思いながら景の顔をチラッと見る。
彼女、はいないけど、実は藤澤 景と付き合ってるんだ!……って、送る訳無いけど。
いるよー。
それだけ送ると、すぐに既読になって、返事が返ってきた。
[そうなんですね!実は彼氏募集中の友達がいて、どうなのかな〜って聞いてみました!いきなりすみません(>_<)]
その後謝りのスタンプも付いてきた。
て事は、俺に恋人がいなかったらその友達に紹介でもしようとしてたのか。
良かった。紹介とかちょっと苦手だし。
あ、でも景は翔平の紹介だったか。
そう思っていたら、景がおもむろに俺の隣に腰を下ろした。
「修介に渡したい物があるんだ」
景はそう言って、手の平サイズのカードをこちらに差し出してきた。
クレジットカード?じゃない。これは……
「うちの鍵」
手に取って、まじまじと眺めた。
初めてここに来た時、景がマンションの入り口と玄関先で操作しててカッコいいなと思ってたんだ。
こんなの、俺にくれるなんて……
なんか、ちゃんとカップルって感じだ。
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