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第194話

「絶対に無くさないでよね。君、抜けてるところあるからちょっと心配なんだけど」 「も、もちろん!ええ、ホンマにええの……?」 「うん。修介さえ良ければいつでも来ていいよ。僕も時間作ってそっちに会いに行くけど、こっちの方に用事があれば寄ってくれると嬉しいな」 「うんうん、寄る!俺、地元や無くてこっちの方で就職したいと思うてんねん!だから東京来る事めっちゃ多くなりそうやから!」 「ふぅん、そうなんだ。じゃあ、就職してからも変わらずに会えるね」 景は嬉しそうに話した。 就職してからもって、一年後も当たり前に付き合ってるっていう意味? あ、そういう何気ない言い方、ちょっとというか、凄く嬉しい……。 ちゃんと就職出来ますように。 「あ、俺ん家の鍵も、今度渡すね!いつでも来てええで」 「まだちゃんと部屋に上がった事無いけどね。ありがとう。じゃあ、次こそは修介の部屋にお邪魔しようかな?」 「うん。ええで!今度は俺ん家で!」 「また映画でも観に行かない?それで、ブラブラしてから家に行こうか?」 「え、ええの?なんか普通のデートみたいやんか」 「東京よりそっちの方が行動しやすそうだしね。何したいか考えておいてよ」 「うん!俺、景と一緒やったら何処でもええ……」 景は俺の言葉を遮っていきなり唇を塞いだ。 ん、と喉が鳴ると、昨日の行為を一瞬で思い出してしまい、お腹の奥がズクンと疼く。 鼻先を掠めた景の髪からはフワッとシャボンの爽やかな香りがした。 景はチュ、と音を鳴らせてから唇を離した。 「もう一回、する?」 「えっ!!」 すぐ目の前の景の言葉に身体中が反応して熱を持ってしまった。 俺の狼狽ぶりに景は吹き出して、俺の頭をポンポンと叩いた。 「嘘。修介に負担かけられないよ。今日はのんびりしていきな。もし何処か行きたかったら外に出てもいいし」 「……あ、うん……」 危うく、しても良いよって言いそうになってしまったから、恥をかかなくて良かった。 身体も少し怠いし、今日はこのまま部屋で過ごすことにした。 今後の予定を決めてから、洗濯したシーツを干して(何で汚したのかを言わせようとしつこかったから蹴った)、映画を見たり、景の過去に出した写真集を見て笑って思い出話しをしてくれたり。 景が眠そうにしていたからソファーで横になって昼寝をしたり、楽しみにしていたアイスも二人で食べたり。 そうやってあっと言う間に時間が過ぎて行った。 また次に会えるまでに時間があいてしまうから、その分思い切り甘えてからマンションを出た。 景が仕事で頑張ってる間、俺もしっかりやる事やらないと。 景とのエッチも無事に出来たし、不感症の疑惑も晴れたし。 景との未来の為に頑張るぞ、と気合いを入れて電車に乗った。 未来、なんて言葉の意味も深く考えもせず、浮かれまくっていた。

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