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第200話 side景
電話を切って、運転する宮ちゃんに視線を移した。
案の定、ニヤついている。
あぁ、面倒だな。なんとなく言われそうな事は検討はついているけれど。
まぁいいか。
どうせ近々話そうと思っていたし。
「ちょっと!誰、誰?今度の相手は?またモデル?」
「ううん、一般の子」
「えーーっ! ど、何処で知り合ったのっ?ちゃんと成人してる?!」
バックミラーに映った宮ちゃんの焦った顔が滑稽で笑ってしまった。
「ファンの子じゃ無いからね。前から宮ちゃんに話してたでしょう?幼馴染の翔平の友達で、関西弁喋ってる子がいるって。その子」
「あぁ、うんうん、よく電話してる子だよね。名前なんだっけ?えっとー……」
「修介」
「あぁそうそう!修介くん!……は?修介くん?どういう事?」
「どういう事って、そういう事だよ」
「……」
宮ちゃんが半眼の仏像のような顔になった。
あぁ、フリーズしちゃった。
たまにこうなるんだよな。激務が続いて睡眠不足の時なんかにこうやって魂が抜けたようになる。
でもプライベートの事を話してる時にこうなってるのは初めて見たかも。
宮ちゃんはそのまま運転を続けているけど、事故を起こすんじゃないかと心配になる。
あ、道間違えた。
「宮ちゃん、今の交差点左折だよ」
「……ごめん。ごめんね景。僕のせいだね。仕事入れすぎて、景がマトモな判断出来なくなっちゃったんだね?まさか男に走らせちゃうなんて……!僕のバカ!」
「いや、至ってマトモだから。僕は修介の事、本気だよ」
「……待って待って!景ってどっちもいける人だったの?!」
「うーん。僕も知らなかったけど、そうみたいだね。好きになっちゃったんだからしょうがないでしょ」
「……しゃ、社長には、言ったの?」
「言ってないよ。まずは宮ちゃんに言うべきでしょ」
「……マズイよ!マズイよそんなの!藤澤 景は実は男が好きだなんて世間に知れたら、どうなると思う?!イメージ崩れちゃうじゃないの!」
ほら、出たよ。
なんとなくこう言われると思ってたんだ。
宮ちゃん、こういう所本当に頭固いんだから。
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