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第201話 side景

「僕は自分の気持ちに嘘をつきたくないんだ。もし宮ちゃんがその事は隠しとけって言うならうまくやるし、仕事で迷惑かけたりしないよ」 「ダメダメ! すぐに別れなさい!」 「やだ」 頬杖を付きながら舌を出してやると、宮ちゃんは真っ赤にさせた顔を震わせていた。 「……うん、まぁ、いいよ!若気の至りってやつ?その子、男のくせに可愛い顔してるって言ってたもんね!たまには羽目外して男と遊んでみてもいいかもね!そのうち飽きてまた女の子のとこへ行くんでしょ?だって景、普通じゃないよ!男と付き合っちゃうだなんて!」 僕はバックミラーに写る宮ちゃんの顔を思い切り睨みつけてやった。 熱い湯が沸騰してボコボコ鳴っている様のように、僕の胸もムカムカと怒りが沸いて高揚しだした。 「普通じゃないってどういう事?宮ちゃんの勝手な解釈で話を進めないでもらいたいし、それを言うならこんな仕事してる時点で普通じゃないでしょ。あのね、つい出来心でみたいに言ってるけど、僕は本気だよ。本気で修介の事が好きなんだよ」 「本気って……」 僕の気迫に押されたのか、宮ちゃんは萎んでしまった。 「誰が何と言おうとこの気持ちは変わらないし、宮ちゃんがもしこんな僕が受け入れられないんだったら僕を見捨ててマネージャー辞めてもいいよ。それくらいの覚悟はあるよ。宮ちゃんがいくら言っても、僕は別れる気なんてさらさら無いからね」 「……はー。景、凄いね。うん。鉄心石腸の景に何て言っても無理だって分かってるよ。景の好きなようにしな。でも、社長には気をつけるんだよ?バレたら、何としてでも別れさせる気がするし」 宮ちゃんは自分に言い聞かせるかのように何度もウンウンと頷いていた。 「うん分かった。ごめんね、すぐに言わなくて。この春から付き合ってるんだ」 「ええっ?!そうなの?!はー。……僕は知らないからね。くれぐれも、変な記事は書かれないように気をしっかり持って! 景もいつまでも子供じゃないからうまくやるとは思うけど、生半可な気持ちじゃその修介くんと付き合っていけないからね。しっかりやるんだよ?!」 宮ちゃんは本気で叱ってくれてるって分かって、嬉しくなって微笑んだ。 「分かってるよ。宮ちゃんにも修介にも事務所にも、絶対に迷惑は掛けないから。ありがとう。あ、また間違えてるよ。さっきのところ右」 「あぁっもうっ!」 宮ちゃん、ありがとね。 もう一回心の中で呟いてから、修介を思い浮かべた。 生半可な気持ちなんかじゃない。 僕はもう決めたんだ。 彼だけを、愛していく。守っていくって。

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