217 / 454
第217話
景は俺の手首を押し付けて、ねっとりとしたキスをする。
その濃厚な舌の動きに、俺は早くも翻弄される。
「ん……」
瞳を閉じて、生暖かいその感触を確かめる。
しばらく口内を貪られてから唇が離された。
「君は本当に、何も分かってないね」
「なっ、何が……んっ」
再び唇を捉えられてしまう。
景の口内はものすごく熱かった。
景、もう興奮してる……?
溺れないように、片手で景のTシャツをギュッと掴んだ。
角度を変えながら無心で味わう。
チュッ、と音を鳴らされて、瞼を持ち上げるとその唇は怪しく艶めいていた。
「自分の方が僕よりも好きだって気持ちが大きいって?分からせてあげようか?僕が、どれだけ君の事が好きなのかって事」
色っぽい言い方にゾクゾクと身体が震えたのも束の間、どんどん激しいキスへと変わっていく。
後頭部を掴まれて、片方の手を繋がれる。早くも身体の中心が反応していた。
部屋に卑猥な音が鳴り響く。
自分の耳の奥を刺激して、どんどん羞恥心が増していく。
「んー……」と喉を鳴らすと、荒く息継ぎをした景が俺の頬に手を添えてくる。
「はぁっ、またそんな顔して……ッ」
「えっ、ど、どんな顔?」
「そうやって、快感に悶えてる可愛い顔だよ。こんな顔見せられて、我慢出来る奴なんていないでしょう」
景は俺を上から見下ろして、額、頬、耳の順番でキスを降らせてくる。
くすぐったくて、肩を丸めていると耳の中に舌が侵入してきた。
「ちょっ、や、やめて……んっ……」
また、あの感覚が蘇る。
ベッドの上でたくさん意地悪されて、恥ずかしくて嫌なんだけど身体がいう事を聞かなくて、訳が分からなくなって脳が蕩けてしまう。
今日もきっと、どこまでも景の手の中に堕ちてしまうのだろう。
体を震わせていると、今度は首筋に顔を埋められて、少しだけ舐められたけどすぐに動きが止まった。
「はぁ……修介……なんだか熱くなってきた」
「うん……」
身体中が熱い。
景の顔から、手から、熱い体温を感じる。景の呼吸が荒くて、なんだかいやらしい。
でも俺は違和感を覚えた。
ともだちにシェアしよう!