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第217話

景は俺の手首を押し付けて、ねっとりとしたキスをする。 その濃厚な舌の動きに、俺は早くも翻弄される。 「ん……」 瞳を閉じて、生暖かいその感触を確かめる。 しばらく口内を貪られてから唇が離された。 「君は本当に、何も分かってないね」 「なっ、何が……んっ」 再び唇を捉えられてしまう。 景の口内はものすごく熱かった。 景、もう興奮してる……? 溺れないように、片手で景のTシャツをギュッと掴んだ。 角度を変えながら無心で味わう。 チュッ、と音を鳴らされて、瞼を持ち上げるとその唇は怪しく艶めいていた。 「自分の方が僕よりも好きだって気持ちが大きいって?分からせてあげようか?僕が、どれだけ君の事が好きなのかって事」 色っぽい言い方にゾクゾクと身体が震えたのも束の間、どんどん激しいキスへと変わっていく。 後頭部を掴まれて、片方の手を繋がれる。早くも身体の中心が反応していた。 部屋に卑猥な音が鳴り響く。 自分の耳の奥を刺激して、どんどん羞恥心が増していく。 「んー……」と喉を鳴らすと、荒く息継ぎをした景が俺の頬に手を添えてくる。 「はぁっ、またそんな顔して……ッ」 「えっ、ど、どんな顔?」 「そうやって、快感に悶えてる可愛い顔だよ。こんな顔見せられて、我慢出来る奴なんていないでしょう」 景は俺を上から見下ろして、額、頬、耳の順番でキスを降らせてくる。 くすぐったくて、肩を丸めていると耳の中に舌が侵入してきた。 「ちょっ、や、やめて……んっ……」 また、あの感覚が蘇る。 ベッドの上でたくさん意地悪されて、恥ずかしくて嫌なんだけど身体がいう事を聞かなくて、訳が分からなくなって脳が蕩けてしまう。 今日もきっと、どこまでも景の手の中に堕ちてしまうのだろう。 体を震わせていると、今度は首筋に顔を埋められて、少しだけ舐められたけどすぐに動きが止まった。 「はぁ……修介……なんだか熱くなってきた」 「うん……」 身体中が熱い。 景の顔から、手から、熱い体温を感じる。景の呼吸が荒くて、なんだかいやらしい。 でも俺は違和感を覚えた。

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