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第271話 番外編 ある日のイチャイチャ
そう言うと君は、パッと目を見開いて赤い顔をして僕に言う。
「あっ……おはよう……」
その姿を見せられて、平気な奴はいないと思うのは、僕だけ?
気付いた時には頭の後ろに手を回し、昨日飽きるほどしたはずの口づけをしていた。
もうこれだけで身体が熱くなって今すぐにでも始めたいけど、あれほど抱いてしまったから、君の身体を考えて自制することにしよう。
僕はすぐ目の前の人の髪や頬、耳を指先でなぞりながら、今この瞬間の幸せを噛み締めていた。あぁ、愛しいなぁ。ニヤニヤが止まらない。
「俺、また先に寝ちゃったん?」
「ん?うん。終わったらすぐ寝たよ」
「もしかして、また身体拭いてくれたんか?」
「うん。拭いといた」
「あ、ごめん。ありがと……」
「いいよ。僕が激しくしちゃったんだから」
「う、うん……」
君は昨夜の情事を思い出したようで、恥ずかしそうに手で鼻と口を隠した。
僕も、君の乱れていた姿をもう一度脳裏に蘇らせる。
涙ながらに、愛してると言ってくれた君。
しばらく僕は飽きもせずに触れ続けた。
ただ隣にいる事が嬉しくて、起き上がることができない。
「ふっ」
突然、君が耐えきれないように笑い始めた。
「くすぐったいで、髪の毛」
「ごめん、可愛くて、つい」
「なんかええなぁ、こういうの」
「……ね」
「景、いつも早起きやから、隣にいてビックリしたわ……」
「今日はなんだか、寝顔見てたくてさ」
「嬉しいで。でも、心臓には悪いかな」
「どうして?」
「起きた瞬間そんな笑顔で隣にいられたら、嬉しすぎてドキドキして、こっちから襲いたくなってしまうで」
この間修介の部屋で寝込みを襲われた事を思い出した。
そんな事を言ってくれる君の言葉が嬉しくて何度も口づけをする。頬や額や目の上にも。
「……もうっ、なんやこれ、朝からイチャイチャしとって、付き合いたてのカップルやないんやからっ」
「いいじゃん。付き合いたてじゃん、僕達」
「もう二ヶ月経ったで」
「まだまだ、これからじゃない」
この後結局、僕は我慢出来なくて、朝から君を抱くことになる。
愛しすぎて、自分よりも大事。
後にも先にも、生涯でこの人ひとりだろう。
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