273 / 454
第273話 番外編「する?」
「じゃあさ、ここにあるのは知ってる?」
景は修介の頭の後ろに手を伸ばし、長めの髪を掻き分けて前へ垂らすと、首筋をすっと撫でた。
「っ、何っ?」
絶妙なタッチで指先を動かすから、修介はゾクゾクと体を反応させてしまう。
人差し指で、一点を優しく押された。
「ここ。小さいのがポツンと。可愛いなぁと思っていつも食べそうになっちゃう」
羞恥で顔が赤く染まる。
そこを甘噛みされる事が多いなと思っていたけれど、まさかそんな理由があったとは。
「……そんなとこにあるん?知らなかった」
「じゃあ、ここは?」
景の人差し指が、背骨を沿って下へ下へと伝っていく。
腰のあたりで指を止められて、少し左にずらされてから指の腹で優しく押された。
「ここにもあるよね……」
体が少しずつ熱を持ち始めたのを悟られまいと、修介は必死で冷静を装う。
「……ヘぇ〜、そこも、知らんかった……」
「ふふっ、僕の方が修介の身体に詳しいかもね」
景はピアノでも弾くように修介の身体の上で指先を遊ばせて、腰側からウエストのゴムを引っ張り、手を中へと侵入させ、お尻のラインに沿って掌で包み込む。
指先で足の付け根部分を触り、いつも熱いモノが入る場所のギリギリ横を押した。
「あっ、何して……」
「あと、ここにもあるんだよ……?」
修介は唇を噛み締め、顔を赤く染めながら首を横に振った。
「う……嘘やっ……そんなとこ、あるわけないやろ?」
「ほんとだよ? 写真撮ってあげようか?」
「いえ、いいです……」
「感じちゃった?勃ってるみたいだけど」
「もうっ!バカっ!」
反応してしまった箇所を隠すように、体を反転させてうつ伏せにさせる。
景は構わずお尻を撫で続けながら、修介に優しく尋ねた。
「する?」
「しない」
「……する?」
「……しないって」
「しようよ?」
景は、枕に埋もれる修介の顔を引っ張り出すようにして唇を奪う。
口内に舌を入れて味わって、チュッと音を鳴らし、甘えた声を出した。
「お願いっ。あと一回だけ」
修介は恥辱の感情でいっぱいになりながら、唇を指で拭った。
「やっ、やだ!今日、何回してると思うてんねん!腰がバキバキになってまうわ!」
「何回って、まだ三回しかしてないじゃん。修介が可愛すぎて、僕の股間が言う事を聞かなくてごめんね?」
「む、無理ッ!ほんまに、勘弁して!」
「何言ってんの。こっちはヤル気満々なくせに」
「あーっ!嫌やー、やめ〜や〜!」
こうして修介は今日も、景の甘い罠へと堕ちていく。
ともだちにシェアしよう!