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第285話
「泊まり込みなん?大変やなぁ。どんくらい?」
『二週間くらいかな。スムーズに済めば短くなる可能性もあるけど』
「えっ!ってことは七月二日もそっちにおるんっ?!」
つい七月二日と声に出してしまい、カーっと顔を熱くさせる。
景とは誕生日の話はしていないのに。
景はすこし嬉しそうな声で俺に話しかけた。
『ううん、二日は一旦こっちに戻って来てる予定なんだけどね……その日、何の日だか知ってるの?』
「あ、当たり前やろ?景の情報なんて、ネットですぐに出てくんねんで?」
『なるほど。もしかして、僕と一緒に過ごしてくれる予定?』
もちろんその予定だったから、俺は恥ずかし気に小さく「うん、会いたい」と言った。
景はそれを聞いてやっぱり嬉しそうにしていた。
でもあいにく景は仕事が入っていて、会えるとしたら夜になるとのことだった。
三日も朝から仕事だから、二日の夜から泊まりに行くことにした。
ちょっと残念だけど、少しだけでも会えればそれでいい。
当日にプレゼントを渡せるんだったら俺としては良しとしよう。
「景、仕事ハードやけど、倒れんように気を付けて無理せんでな?俺応援しとるからな?」
『うん。大丈夫だよ。忙しいって言っても、一日中休みなくってわけじゃないんだし。しばらく会えなくて寂しいけど、次会えるのを楽しみに僕も仕事頑張るからね。寂しくなったら、いつでも電話してきていいから』
いつでもって。
超絶忙しいくせに。
景には迷惑はかけないって決めたんだ。
嬉しいけど、甘えないようにしないと。
「うん、ありがと。じゃあまたね」
電話を切った後、莉奈の彼氏の事について聞くのを忘れていたのに気付いた。
まぁいいか。そんなに重要な事でもないし。
その後すぐ翔平にラインを送った。
今度、景のプレゼントを買いに行くのに付き合ってもらおう。
すっかり湯冷めした俺は、もう一度湯船につかりにバスルームへ向かった。
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