285 / 454

第285話

「泊まり込みなん?大変やなぁ。どんくらい?」 『二週間くらいかな。スムーズに済めば短くなる可能性もあるけど』 「えっ!ってことは七月二日もそっちにおるんっ?!」 つい七月二日と声に出してしまい、カーっと顔を熱くさせる。 景とは誕生日の話はしていないのに。 景はすこし嬉しそうな声で俺に話しかけた。 『ううん、二日は一旦こっちに戻って来てる予定なんだけどね……その日、何の日だか知ってるの?』 「あ、当たり前やろ?景の情報なんて、ネットですぐに出てくんねんで?」 『なるほど。もしかして、僕と一緒に過ごしてくれる予定?』 もちろんその予定だったから、俺は恥ずかし気に小さく「うん、会いたい」と言った。 景はそれを聞いてやっぱり嬉しそうにしていた。 でもあいにく景は仕事が入っていて、会えるとしたら夜になるとのことだった。 三日も朝から仕事だから、二日の夜から泊まりに行くことにした。 ちょっと残念だけど、少しだけでも会えればそれでいい。 当日にプレゼントを渡せるんだったら俺としては良しとしよう。 「景、仕事ハードやけど、倒れんように気を付けて無理せんでな?俺応援しとるからな?」 『うん。大丈夫だよ。忙しいって言っても、一日中休みなくってわけじゃないんだし。しばらく会えなくて寂しいけど、次会えるのを楽しみに僕も仕事頑張るからね。寂しくなったら、いつでも電話してきていいから』 いつでもって。 超絶忙しいくせに。 景には迷惑はかけないって決めたんだ。 嬉しいけど、甘えないようにしないと。 「うん、ありがと。じゃあまたね」 電話を切った後、莉奈の彼氏の事について聞くのを忘れていたのに気付いた。 まぁいいか。そんなに重要な事でもないし。 その後すぐ翔平にラインを送った。 今度、景のプレゼントを買いに行くのに付き合ってもらおう。 すっかり湯冷めした俺は、もう一度湯船につかりにバスルームへ向かった。

ともだちにシェアしよう!