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第322話 side景
「こっちがいくらアドバイスしても、彼女の考え方が変わらないようなら意味ないよ。彼女は君に甘えてるんじゃない? 決断せずに悩んでいれば、いつまでも君に相談ができるからね」
何だろう、この言い方。
自分の発言に我ながら驚いた。
修介は僕の目をジッと見つめてくる。
僕のこの様子に少しだけ動揺しているようだ。
こんな言い方をしてはいけないのに、僕の唇は止まらなかった。
「修介が彼女の悩みを受け持とうなんて、そんなのできるわけないよ。これは彼女の問題なんだから、彼女自身に考えさせるべきだよ」
「……そっか」
修介は笑いながらもどこか落ち込んだように俯いてしゅんとしている。
僕の気迫に圧倒されたのか。
「彼女、修介の事が好きなんだろうね」
自分でそう口にしてみて分かった。
あぁ、僕の不機嫌な理由はこれか。
僕はきっと気付いたんだ。彼女の気持ちに。
僕の言葉に、修介は目を丸くした。
「え?莉奈が?」
「修介気付かないの?何とも思ってない人に相談なんて出来ないよ。他人とは違う感情があるから、修介にそうやって電話かけてくるんでしょ」
君を怒らせたいわけじゃないのに、僕はなんて子供っぽい事をしているんだ。
でも、どうにもならないこの気持ちを、目の前の修介にぶつける事で発散しようとしていた。
修介はかぶりを振って、困ったように笑っている。
「莉奈は、ただのバイトの後輩やで?そんなんあるわけ」
「リナリナって、さっきから煩いよ」
僕は本能のままに、ソファーへと修介の身体を押し倒し、両手首を押し付けて自由を奪った。
冷たく修介を見下ろす。
手に握られていたスマホがソファーの上に落とされたところで状況を理解したらしく、修介は慌てた様子で僕を見上げた。
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