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第372話*

景は俺をベッドの真ん中に優しく座らせてくれた。 いつものように、緩やかなキスから始まって、徐々に舌使いを荒くして、あらゆる角度で口内を貪り、息も出来ないほどの激しいキスへと変えていく。 「……はぁッ」 久々の行為だから、すぐにお互いの身体が熱を持つ。 唇を離すと、景は今度は俺の耳を執拗に攻めてくる。 景の生暖かい舌が神経を伝って頭にダイレクトに響いてくるから、俺は目をギュッと閉じた。 そうされる事に俺は滅法弱い。 全身に鳥肌を立たせながら身体を丸めて、震えながらその快感に絶えた。 今度は仰向けにされる。 着ていたTシャツを脱がされ、また耳、頬、首筋とキスの雨が降ってくる。 景の指先が突起部分へと伸びてきたのが分かったから、俺は眉根を寄せて、肩をビクンと震わせた。 「……あっ」 「ふっ。まだ触ってないのに」 景は意地悪だ。 すぐにそこには触れず、その周りを触れるか触れないかの絶妙なタッチで撫で続けている。 俺はむず痒くて、居たたまれなくなる。 早く触って欲しい。けど、そんな事言えないから、自然と景の指先が当たるように体を捩ってしまった。 たまたまとでもいう風にそうしたつもりなのに、景にはすぐに見抜かれてしまった。 「あれ、いけない子だな」 「だっ、て」 景にこんな体にされたんだ。 景と出会う前の俺は、こんなところ感じなかったはずなのに。 景の指先が触れるところ、全部が気持ちいいだなんて。 「触ってほしい?」 うん、と正直に頷くと、指の腹でぷに、と押されたかと思ったら、すぐに爪先でカリっと引っかかれた。 刺激が強すぎて息をのむ。 何回か荒く息継ぎをして、高揚し過ぎた気持ちを落ち着かせたのも束の間、景がいきなり俺の身体の中心の熱くなった部分を、洋服越しに指先でツー……と撫でたから、また身体を震わせた。 「ぁ……っ!」 いやらしく動く指先に、思わず身をよじらせて、膝をもじもじと擦り合わせてしまう。 「すごいよ。もう、こんなになってる」 「だ、から、そういう事……言わないで…ッ」 「早くちゃんと触りたい」 そう言うと、俺のズボンのボタンを外しにかかる。 早く触ってはほしいけど、きっとすでに下着が濡れていると思った俺は、ズリズリと頭を横に振ってやっぱり抗ってしまう。 「ちょっ、景、ちょっと待って」 「待てないよ。どれだけ待ってたと思ってるの」 俺の髪の毛を片手でまとめられ、露わになった首筋を濡れた舌先でなぞられる。 またゾクリと鳥肌が立った。 景の腕を強く掴まないと、まるで自我が保てなかった。 「――ッ!あ、あ……んっ」 「何度も修介の事を夢に見たよ。それで、夢の中で何度も修介の事を抱いた」 下着ごと一気に下を脱がされて、きゅっと中心を握られた。 それは服の上から触られている時とは比べ物にならないくらいの快感で、身体中に一気に電流が走った。 それだけで気持ちよかったけど、景はもう片方の手で、再度俺の乳首を弄り始めた。 「は……ぁ……ッ」 性感帯をどちらも同時に責められて、頭が白くボヤけてくる。 気持ちよ過ぎて、口が開いてしまう。 「景……ッ」 やばい。こんな事されたら、俺もう――… 「修介、声、出していいよ……可愛い。もっと、僕の為に鳴いて、聞かせて」 景の手の平が緩急をつけながらそこを刺激する。 快感過ぎて勝手に出てくる声に耐える為に、景の腕から手を離し、唇に右の手の甲を思い切り押し付けて、目をギュッと瞑った。 景はそんな俺を見てクスっと笑った。 「我慢しないでいいよ。修介」 「……だっ、だって、壁薄いし、聞こえるッ……」 「聞かせてあげれば?」 案外、修介の可愛い声聞いて、一人でシテるかもよ―― そう耳元で呟かれて、ゾクゾクと羞恥心が芽生える。 変態、と言おうと思ったら、景は胸の突起に歯を立てて強めに吸い付いたから、俺は言葉を飲み込んだ。

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