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第382話
風景がくるくると回る中、景が隣にやって来て、俺の顔を見てぎょっとした。
(やはりタケさんのトレーニングを倍にするというペナルティをくだす事で、なんとかタケさんを許してあげたようだった)
「うわ、ちょっと修介、顔真っ赤だよ!誰がこんなに飲ませたの?桜理?」
「俺じゃねぇよ……修介が勝手に飲んでたんだよーん……」
そう言う桜理さんは目が虚ろで、頭は弧を描いていた。
「ったく、酔っ払いめ」
景は俺の隣に座る桜理さんを強引に退かしてからその場に座り、俺の腰に手を回した。
「あ、景や」
景が来てくれた事に嬉しくなって、自ら景の肩に頭を保たれた。
そんな俺を見て景はクスッと笑う。
「修介、どうしたの?みんないるのにこんな事しちゃって」
そう迷惑そうに言いながらも、景はニコニコとして嬉しそうだ。
「どうせみんな知っとるんやろー?酔っとるから、ご愛嬌や……」
猫のようにスリスリと頭をなで付ける。
景はそれを見て俺の頭に手を回して撫でた。
「ちょっと、そこの二人!不純性行為禁止やで!」
「桜理、なんで関西弁なの」
「いいじゃん。俺そういうのだぁいすき。ちゅーしてよ、ちゅー」
「タケ、お前はちゃんと服を着なさい。肩が出てるから」
「景やって……はだけてるで?」
俺は、大きく首元が開いているVネックのTシャツを着る景の首筋をスーッと指でなぞった。
「ちゃんと、着なさい...…」
「修介。我慢出来なくなるからやめようね」
景は笑いながら俺の手を取り引き離す。
その瞬間、少し赤い顔をした景の潤んだ瞳と目が合ったから、にこーっと微笑みかけると、景はワナワナと震え出して、桜理さんに確認を取った。
「ねぇ、僕もう修介連れて帰ってもいい?! 限界なんだけど!」
「まだまだ!どんどん飲むぞー!!」
桜理さんが煽ってくる。
俺はというと、ぐわぐわと襲ってくる睡魔に勝てず、景のいる場所の反対側にパタンと倒れた。
意識を手放す前に、景の声が聞こえた気がした。
「あっ、もう、修介……」
* * *
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