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第383話

「修介。修介、起きて」 身体をユサユサと強く揺さぶられ、目を開けた。 「帰るよ。立てる?」 「あ、うん……」 寝ぼけながら上半身を起こす。 ここは、何処だっけ? ああ、みんなと飲んでて、ここで寝ちゃったのか。 まだ頭がフラフラとして風景が回る。 でも、とってもいい気持ちだ。 周りを見ると、みんな帰り仕度をしていた。 酔い潰れた人を無理やり起こしたりしている。 俺は薄目で景を見つめた。 「……これから、何処行くん?」 「僕の家だよ。しっかりして」 「泊まり?」 「当たり前でしょ。もう、修介が焦らすから我慢出来ないよ。早く家行こう?」 景が俺と視線を合わせて、笑ってくれた。 それが嬉しくて、俺は目を閉じて景の方に唇を突き出した。 「バカ。そんな可愛い事してると、ここで襲っちゃうよ?」 「だめなんー?」 「……覚悟しておいてよね、寝かさないから」 小声でボソリと呟かれ、ほら立って、と腕を引っ張られる。 俺はキスが欲しかったけれど、後でのお楽しみに取っておこうと思った。 「ちょっとトイレ行ってくるー」 「僕もついていくよ。フラフラじゃん」 「へーきへーき。景は外で待っとーてー」 「大丈夫?転ばないでよね? じゃあ僕、外で煙草吸って待ってるからね」 そう言って景は店の出口へ向かった。 俺はフワフワする頭をフル回転させて、店の奥にある手洗い場のドアを開ける。 するとそこには、俺以上にベロベロに酔っているタケさんがいた。 タケさんは俺の顔を見るなり、すかさず肩に手を回して絡んでくる。 「あ、修介じゃん。これから詩音の家行こうよー。景ちゃんのデビュー当時の映像観たくなーい?」 「えっ!景の?観たい!」 「お蔵入りされてる、プレミアつくぐらいのレアな映像らしいぜ。あいつ景ちゃん馬鹿だから、そういうのいっぱい持ってるらしくて。詩音の家にあるから行こうぜ、これから!」 「これから~……何処行くん?」 あれ、なんだっけ? この台詞、さっきも言ったような気がする。 それでその後、もの凄く嬉しくなったような。 「だーかーらー、詩音の家だよーん」 ユサユサと揺さぶられると、より一層酔いが回って気持ちよくなってくる。 そっか。さっき、景のデビュー当時の映像が観られると思って、嬉しくなったんだっけ。 「行きますっ!行きますっ!景、観たい!」 「オッケ。じゃあ行こ~!」 俺はタケさんに手を引かれ、店を出た。 そこには詩音くん、桜理さん、それに他に三人程が談笑していた。 皆顔が赤く、上機嫌で会話している。 「じゃあ、行くかー!」 桜理さんが張り切ってオーと片手をあげる。 誰かが呼んだであろうタクシーに、俺たちはそれぞれ乗り込んだ。

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