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第385話
[修介]
あ、景。
いつもいつも、お仕事お疲れ様。
忙しいのに、俺の事も忘れずにちゃんと大事にしてくれて、ほんま嬉しいで。
ありがとう。
[いっぱい、可愛がってあげるよ。おいで]
ほんま? 俺、ずっと我慢しててん。
景に触れたくて、触れて欲しくて、仕方なかった。
今日はずっと傍におってくれる?
[もちろん。修介、キスして?]
うん、いっぱい、キスしよ。
愛してんで、景。
* * *
あぁー、やっぱり景とのキスは最っ高。
ずーっとしてても飽きない。
今日はちょっと、いつもと違う気がするけど。
久々だからそう思うのかな。
あぁ、それにしてもいい夢だなぁ。夢の中でも景に会えるなんて。
あ、夢なのか。これ。
顔にかかる髪がくすぐったくて、くしゃみが出そうになった。
景、髪こんなに伸びたんだ。
唇を離して愛しい人の顔を見ようと、ゆっくりと目を開けた。
……けど、すぐに目を見開き、驚愕した。
横向きに寝ている俺の目の前にいる人は景ではなく、桜理さんだった。
「?!!」
途端に頭が冴えわたる。
ハッとして起き上がると、隣に寝ていた桜理さんも目を覚ました。
「ん、エリ?」
「えっ?!」
エリって、桜理さんが付き合ってる人の名前だ。
桜理さんもきっと、夢を見てるんだ。
「……」
いや、ちょっと待って、俺、桜理さんとキスしてたの?!
唇を触ると、しっとりと濡れていた。
ど、どうしよう!
俺は女の子みたいに鼻と口を両手で覆って、キョロキョロと訳もなく見渡す。
時計の針は六時を指している。
初めて見る十畳程のその部屋には、タケさんや桜理さんらがソファーや床で雑魚寝していた。
その中に、景の姿は無い。
あれ、景は?
なんとか記憶を辿ろうとしていると、桜理さんに腕を引っ張られた。
「なぁ、今、キスしてた? 俺達」
「してた、みたいです……すいません、俺、景と間違えて」
「俺も寝ぼけてたっ……つーか、ふざけんなよ!俺殺されちゃうじゃん、あいつにっ!」
「すっ、すいません!!」
「うるさ~い……」
寝ていたタケさんがムクッと起き上がる。
俺を見た途端、目をパチクリとさせた。
「あれー? 修介、何でここにいんのー?」
その言葉を聞いた桜理さんがハッとして、またぐっと俺の腕を引いた。
「そうだよ!そもそも何でお前ここにいんの? 景は?!」
「お、俺にもよく分かんないです」
「え?タケさんが誘ったんじゃないですか。修介さんも俺んち行くからなって。堂々としてるから、俺てっきり藤澤さんに了承得てるのかと思ってた。みんな着いた途端に寝ちゃったから、俺もすぐに寝ちゃいましたけど」
いつの間にか起きていた詩音くんが口を挟んだ。
それを聞いたタケさんは腕組みをしながら首を傾げる。
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