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第395話

何故こんな事になってしまったのか。 俺は安易に何でもすると言った先程の自分自身を酷く恨む。 まさか、一人でする羽目になるなんて。 こんなに情けなく、恥ずかしい事はない。 「僕、ここで見てるから。修介はリラックスして、気にせずにしてていいからね」 景はルンルンでベッドから降りて、サイドテーブルの隣にある椅子に座り、頬杖をついてこちらを見てくる。 俺はベッドヘッドにもたれ掛かり、膝を立てて座った。 てっきりすぐ隣で見られると思ってたから、少しだけ緊張が解れたけど、恥ずかしい事には変わりない。 「じゃあ、景の……着てる服貸して……?」 「えっ?」 景の虚を突かれたような顔を見て、言った後で激しく後悔する。 (はっ、恥ずかしい!俺、何言うてんねん!!) シーツを頭から被って隠れた。 でもいつも通りだったら、きっとそれが必要だから……。 「Tシャツでいいの?」 景の問いかけに、何も言わずコクコク頷いた。 生地の擦れる音が聞こえたから、少しずつシーツをずらして景をこっそり見る。 綺麗な肉体美を露わにさせた景は、こちらにシャツを手渡した。 「はい」 「ありがと……」 顔から火が出そうな思いの俺は、とりあえずそのTシャツを膝の上に置いて、意を決してズボンと下着を一気に脱ぎとってベッドの隅にやった。 大事な部分は隠してるけど、シーツから出た自分の生脚がなんともいやらしい。 「いつもどんな時にしてるの?」 ビクッとして景の方を向くと、いつもの意地悪な顔になっていた。 「僕のTシャツは? いつ使うの?」 もうっ!恥ずかしい! なんでまた羞恥心倍増させるような事聞いてくるんた! 「……いつもは、色々だけど、会えなくて寂しい時とか……。景の匂い嗅ぐと安心するから、する時はベッドに香水つけたりしてる……」 そう。景の吸っている煙草に似たバニラ系の香水を…… あぁっ!だからなんでこんなにバカ正直に自分のエロ事情を話してしまうんだ! 急いでTシャツで顔を隠した。 熱湯を頭から被ったように熱くなる。 あ、でも、この香り。 やっぱり大好きな、景のにおいだ。 「可愛い。なんか、乙女な事してるんだね」 「もうっ、虐めんといてっ!」 「はいはい」 クスクスと笑った後、途端に景は大人しくなって、部屋が静寂に包まれる。 もしかして、始めろって合図かな? 目を閉じると、今が朝なのか夜なのかわからなくなる。

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