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第397話*
「んぁ……っ」
自分の意思とは裏腹に、吐息が漏れてしまった。
恥ずかしくて、景に聞こえてない事を祈りながら目を開ける。
「可愛い……」
きっ、聞こえてた!
心臓がドキドキといいすぎて爆発しそう。
「いつも、僕の事考えてしてるんでしょう?」
話しかけられるけど、俺にはもう答える余裕なんてなかった。
「もっと、気持ち良くなって、淫らになってごらん?僕に触られてると思って」
え?
「僕はいつもどんな風に触ってるっけ?」
景に言われるがまま、想像した。
景の手は大きくて、あったかくて、俺のを優しく包み込んでくれる。
こんな風に繊細だけど時々先の方に力を加えながら……
「あ……!」
自分の気持ち良い加減で触ってしまって、今度はさっきよりもはっきりと喘いだ。
その声は脳内を刺激して、自分の中で理性が弾け飛ぶ。
ますます荒くなる自分の息がシャツに当たって跳ね返ってきて、顔が熱くなってくる。
息を吸うたび、景の甘い煙草の香りがして、気持ちが抑えられない。
「ふぁ、あ……ぁっ」
動きを止められず、先端から少しだけ液体が漏れて、手を濡らした。
目をギュッと瞑って、足のつま先に力を入れた。
もう達する事しか考えられない。
「ふっ……あっ!景っ……」
いつもしている時みたいに、愛しい人の名前を呼ぶ。
「可愛い。修介、本当に僕の事考えてしてくれてるんだ?」
「……んっ、ん、ぁっ」
「感じてるの? 可愛すぎ。大好きだよ」
こんな情けない姿を見せてるのに、景は嬉しそうにそう言ってくれる。
そんな風に言われたら、もうたまらなくなる。
気持ち良すぎて、ビクビクと身体が跳ねるのを我慢できない。
達するのも時間の問題だと思う。
「――あ!」
やばい。今まで何度も経験しているこの感覚。
中心は燃えるように熱くて、スース―して、先からどんどん雫が零れてくる。
「イきそうなの?」
俺は涙で目をにじませながら、コクコクと何度も頷いた。
「イきそうならちゃんと口で言うんだよ?」
膝をまた擦り合わせて、快感に耐える。
そんな事、なんで口で言わなくちゃいけないんだ、と頭の隅では冷静になるんだけど、景の甘い声を聞いたら、我慢できなくて大人しく従いたくなってくる。
「んっ、イきそ……っ」
小さく言うと、景はゆっくりと椅子から立ち上がった。
ベッドに片膝を乗せたと思ったら、俺の左手首を取って、シーツを無理やりはぎ取った。
必死に隠していた部分が露わになってしまって、焦る。
「あっ?!」
「続けて。顔、見せて?」
「あっ、あっ、やっ……!」
右手を中心から咄嗟に離すと、景にその手をすぐに取られて、再度ソコを握らされる。
片方の空いた手で頭を抱き寄せられ、額を景の肩に押し付けられた。
そして中心を握らされた俺の手の上から景の大きな手が被さり、緩やかに上下に何度も扱かれた。
「――……っ!」
「嬉しいよ。僕の夢、叶えてくれてありがと」
――愛してるよ。
そう耳元で呟かれると、もう限界だった。
「あぁっ!景っ!もう駄目、駄目ッ……イく……!」
景の肩口にぐりぐりと額を押し付ける。
快感に溺れる顔を見られていない事をいいことに、競り上がってくるその欲望を思い切り吐き出そうとしたその時……。
俺はイけなかった。
なぜなら、景の手が俺の手ごと強く握りしめていたから。
「あっ!なっ、なんで……ッ?!」
血が逆流したような感覚で、身体がブルブルと震える。
顔を上げて景を見ると、悪巧みするような笑顔で俺の顔を覗き込んでいた。
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