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第411話
ひたすらひょうきんに話続けるお父様をじっと見つめていたら、苦笑したお母様が話を遮るように茶飲みのコップをテーブルに置いた。
「お父さん。お友達の前でそんな話してないで。ごめんなさいね、お父さんいつもこうで」
「あ、いえ」
「景の一番のファンだからねぇ、僕は」
お父様はそう言ってお茶を一口飲む。
景とお父様を交互に見ると、どちらも嬉しそうに微笑んでいた。
それを見て思った。
きっと景は、言葉には出さなくてもお父様の事、信頼しきってるんだろうな。
だから景はさっき「大丈夫」って言ったのかも。
なんだかそういうのいいな。じんわり胸があったかくなった。
「それで、二人に話があるんだ」
景はいきなり言うから、俺は唇をギュッと噛んだ。
景の方は見れずに、視線を下に落とす。
「ええ、何かしら?」
お母様もお父様の隣に座って、景の事をじっと見る。
冷や汗をかきまくっているのを誤魔化すように、手のひらを擦り合わせた。
逃げ出したい。
でも大丈夫。
いや、やっぱ逃げ出したい。
何度も交互にぐるぐるさせていると、景ははっきりと告げた。
「修介と、一緒に住みたいんだ」
「うん、別にいいよ」
早っ。
あまりにも早すぎるお父様の返事にギョッとする。
それはお母様も同じだったようで、すぐさまお父様の顔を覗き込んだ。
「ちょっとあなた。適当に言わないでよ。えっと、一緒に住むってどこに?」
「まだ決めてない。修介の就職が決まったらマンションを出ようと思ってる」
「それで、どこかに引っ越すって事?」
「うん。二人で」
景は真っ直ぐに見据えて頷いた。
その言い方で何かを悟ったのか、景の両親は互いの顔を見合わせていた。
俺の方にも視線が痛いほど突き刺さってくる。
とてもじゃないけど目が見れなかった。鼓動が早くなって、瞬きも多くなる。
そんな時だった。
俺の手の上に景の手が被さり、そのまま恋人繋ぎをされて、見せつけるように肩の位置まで高く上げられた。
「驚かせちゃうかもしれないけど、付き合ってるんだ。僕たち」
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