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第414話
震える声でそう言って、深々と頭を下げた。
視線が痛いほどに伝わる。
そりゃあ、息子がこんな得体も知れないチビ男と付き合っていただなんて知って、ショックも大き過ぎるだろう。
でも俺はもう負けない、自分に。
景の隣は俺しかいないんだ。
「よく言ったよぉ〜、景も修介くんも!」
またしても場違いなひょうきんな声にズッコケそうになる。
顔を上げると、嬉しそうに微笑むお父様の姿があった。
「なんか凄いなぁ。景ったらいつのまにかこんなに大人になっちゃって。七歳までオネショが治らなかったのが夢みたいだよぉ」
「ちょっと、何言ってるの」
景は焦ったように手をブンブン振った。
あ、なんか俺っぽい。
お父様は悪戯っぽく笑ってから、また穏やかな話し方に戻った。
「景、分かったよ。景は本気なんだね、修介くんの事」
「うん、本気」
「なら、修介くんの事ちゃんと大事にしてあげるんだよ?君は職業柄マスコミに目を付けられやすいんだから、修介くんには迷惑を掛けないように細心の注意を払って。修介くんを守らないとね」
「分かってる」
景はお父様の目をしっかり見つめながら頷いて、隣のお母様に視線を移す。
お母様も先ほどの表情が一転し、柔和な表情になっていた。
「景。私達を何度でも説得するって言ってるけど、そんなのいいわよ」
お母様はお父様に目配せをした。
「どうせ私達が何て言おうが、景は生きたいように生きるでしょう?それでいいわよ」
「じゃあ、僕達の事認めてくれるの?」
「ええ」
お母様は頷く。
「まさかこんな事を言われるだなんて正直思っていなかったから……どう言えばいいのか分からないけれど。修介くんが来た時から、そういう関係なんじゃないかって思ってたのよ。だから身構えが出来てたのかもね」
お母様は俺の方を向いて、自分の左手の薬指を指した。
「雰囲気がなんとなくね。あとそれ、景の指輪でしょう?景がいつも大事にしてた。さっきお土産を受け取る時に見えて」
そう言われて自分の左手に嵌っているいばらの形の指輪を見つめた。
そういえばそうだった。
景に左手にしなよと言われて車の中でしたけれど、あとで嵌め変えようと思っていたのに、緊張のあまりそうするのを忘れていた。
それに雰囲気がなんとなくって、そんなに恋人っぽく見えてしまっていたんだろうか。
それだったらちょっと恥ずかしいかも。
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