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第415話
「景の性格はお父さんに似て超頑固者ですもの。そんなの育てて来た親が一番よく知ってる」
「えっ、待って待って、超頑固者は貴女の方でしょ」
「嘘、貴方よ。それに完璧主義なところも」
「うーん、それはそうかもしれないけど、超頑固者は間違いなく貴女だよ」
本格的に言い合いが始まったから、ぼーっとそれを眺めていた。
やっぱり藤澤家って、景を筆頭に変人が多い。
俺たちの事よりも、性格がどうのこうので言い争いをしている。
でもとりあえず、受け入れてくれたって事?
この二人が景の親で良かった...…。
安堵していたら、景は手をまた机の下で強く握ってくれた。
「大丈夫だったでしょ」
景もホッとした表情をしていた。
もしかしたら景なりに緊張していたのかも。
俺を安心させる為に根拠も無くああやって言ってくれたのかもしれない。
でも結局その通りになるんだから、景はやっぱり何でもできるミラクルな人間なのだ。
モコがまるでこの場を祝福するかのように、尻尾をパタパタばたつかせながら走り回る。
俺の隣にも来てくれたから手を伸ばすと、今度は逃げずに体を触らせてくれた。
あぁ、良かった。
これで何もかも心配事は無くなった。
そう思ったのは数分の事だった。
また何事も無く他愛もない会話をしていた時、不意にお母様は切り出したのだ。
「そうだわ。私、後でお買い物に行かなくちゃいけないの。買い忘れた食材があって。悪いんだけど修介くん、一緒に行って荷物持ち手伝ってくれないかしら?」
ドキンと心臓が跳ねた。
何故景では無く俺なんだ?
あぁでも、景は周りにバレたら厄介だから行けないか。
もしかして、さっき受け入れたって言っていたのは嘘で、俺に直接別れるように言おうとでもしているのか?
それとも俺たちを二人きりにさせたくないからそんな事を言っているのか。
色んな考えが頭をよぎる。
「僕が行くよ」
景は察したように横から口を挟むけど、お母様はすぐに首を横に振った。
「景が来たらお母さんが気疲れしちゃうわ。誰かに気付かれて後を付けられたりして家がバレても嫌だし。お父さんはゴルフのしすぎで腕が痛いって言うし。すぐそこのスーパーだから、お願いできるかしら?」
「あ、はい」
断る理由も見つからずに頷いた。
お父様は二階の洗濯物を取り込みにいくといって階段を上がって行き、お母様は食器を台所で洗い始める。
俺はトイレを借りようと席を立ってリビングから出ると、後ろからついてきた景に腕を掴まれた。
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