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第422話*
「あぁ……聞こえちゃってたかもね、修介の可愛い声」
前も後ろも同時に責められている俺は、もう冷静な判断が出来ない。
景は今どんな顔をしているんだろうと、瞼を持ち上げてしまった。
すぐ目の前には意地悪く笑う景の顔があって、しっかりと視線を合わせたまま両手を動かされていたからゾクゾクした。
もう達してしまいそうになるけど、達するまでにはまだ少しの刺激が足りなかった。
多分、いつも俺が感じるいいところをわざと外していじっているからだ。
ずっとイけない状態のまま、グチュグチュと指で貪られると、次第にそこから卑猥な音が聞こえてきて、部屋中に響き渡った。
声を押し殺しているのが苦しくて、視界も白んでぼやけてくる。
景は熱っぽく深く息を吐くと、俺の手の甲にキスを落とした。
「可愛いね。君は、本当に」
「ふ、あ、ぁっ」
「本当は挿れたいけど……我慢する。修介は、我慢しなくていいから。イくところ、ちゃんと見ててあげる」
そう言って俺の中心の方へ唇を寄せると、舌先だけで先の方を舐めた。
新たな刺激に、また甘い疼きが全身を貫く。
滲み出た液体を舐めとるようにして動かされる舌の刺激に耐えきれずに、口から手を離して両手でシーツをギュッと握った。
「あ、あ、も、ダメッ……あ……っ」
パクリと根元まで深く咥えられたのと同時に、後ろに入れられていた指が折り曲げられて、中にある一点を集中してこすられた。
それがどうしようもなく気持ちが良くて、俺は足を突っ張りながら夢中で腰を揺らしていた。
「あっ、景っ、あ……ん──……」
次の瞬間、気付いた時にはもう景の口内に欲を思い切り吐き出していた。
「あっ……あっ、は……っ、ん」
何回か身体がビクビクと痙攣したように跳ねて、ようやく来た開放感からしばらくボーっと天井の一点を見つめる。
全て出し終えてからチラッと景の方を見ると、その喉仏が上下に動いたからギョッとして、素早く上半身を起き上がらせた。
「もしかして、飲んだんっ?」
「ご馳走さま」
「さっ、最悪や……」
いつもはちゃんとティッシュに吐き出すのに。
羞恥でおかしくなりそうな俺は手の平で顔を覆った。
射精してしまえば、後に来るのは賢者タイムと罪悪感。
ダメダメと言いながら我慢できずに景の言葉に乗せられて、結局は下半身を露出したこんな情けない格好でベッドの上に座っている。
本当に声が下まで届いていたらどうしよう。
そんな心配を今更していると、景に手首を掴まれて、唇を奪われた。
「んっ」
景の舌からはいつもは感じない苦味が伝わってくる。
それが何なのかは考えたくもなくて、俺は首を振った。
「ん、やだっ」
「やだって、自分のだよ?」
「だからやなの!」
どんな嫌がらせプレイだ、と景の肩を押して涙目になりながら、情けなくヘタレている自分の中心を素早く下着の中に仕舞いこみ、ズボンを上げた。
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