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第13話
横で眠る彼女を見ながら、ぼんやりと思った。
"ああ、俺、幼なじみ が好きだったんだ"
そう思うと、全てに合点がいった。
隣に並ぶ彼女に対する違和感は、アイツじゃないから感じていたんだ。
どんな奴が隣に並んでも、アイツじゃなかったら違和感は拭いされないんだ。
アイツが隣にいなくなった喪失感は、失恋の痛みだったんだ。
どんな奴が愛を囁いても、アイツじゃなかったら喪失感は埋められないんだ。
「どうしたの?」
いつの間に起きていた彼女が、俺の頬に手を伸ばす。
「泣いてる」
俺の頬を伝う涙を、彼女が人差し指で優しく撫でる。
「……ありがと」
俺がそう言うと、彼女はにっこりと笑った。
それから1週間後、俺は彼女と別れた。
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