36 / 140

第36話

左ヒジで頬杖をつきながら授業を受けているをする。 ホント、綺麗な顔してんなぁ…。 俺と違い、真面目に授業を受けている彼は、基本、前を向いている。 彫りが深く、鼻も高い。 顎のラインも程よくシャープでバランスがいい。 ページをめくる為、時折斜め下を向く。 長いまつ毛がパサパサ動く。 大きすぎな口元が少し開いた。 「寺島君」 控えめな動きで俺の名前を呼ぶ。 あぁ、もっと呼んでほしいな……。 「寺島君」 小声だけどはっきり俺の名前を呼ぶ彼。 ゆっくり目線を上げて、彼に瞳を見る。 「次、寺島君の番だよ」 「え?」 少し不思議そうな彼が、人差し指で俺のノートを指す。 「ここ、たぶん当てられるかな」 俺が真面目に授業を受けていないと判断したのか、丁寧にも、先生に当てられそうな箇所を教えてくれた。 そして、彼の予想通り、 「では、次、寺島君。この部分を訳して下さい」 先生がその箇所を指し、俺を当てた。

ともだちにシェアしよう!