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第36話
左ヒジで頬杖をつきながら授業を受けているフリをする。
ホント、綺麗な顔してんなぁ…。
俺と違い、真面目に授業を受けている彼は、基本、前を向いている。
彫りが深く、鼻も高い。
顎のラインも程よくシャープでバランスがいい。
ページをめくる為、時折斜め下を向く。
長いまつ毛がパサパサ動く。
大きすぎな口元が少し開いた。
「寺島君」
控えめな動きで俺の名前を呼ぶ。
あぁ、もっと呼んでほしいな……。
「寺島君」
小声だけどはっきり俺の名前を呼ぶ彼。
ゆっくり目線を上げて、彼に瞳を見る。
「次、寺島君の番だよ」
「え?」
少し不思議そうな彼が、人差し指で俺のノートを指す。
「ここ、たぶん当てられるかな」
俺が真面目に授業を受けていないと判断したのか、丁寧にも、先生に当てられそうな箇所を教えてくれた。
そして、彼の予想通り、
「では、次、寺島君。この部分を訳して下さい」
先生がその箇所を指し、俺を当てた。
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