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第38話
「待って、佐々木君!」
再度、彼を引き止める。
彼も、再度"何?"という表現で、俺を見る。
何か言う事はないか、何か……
ふと、彼の机の上を見る。
それだ!
「あのさ、ノート!その古典のノート見せてくれないかな?」
「え?」
そんなこと言われるとは思っていなかったのか、キョトン顔の彼。
「さっきチラッと見えたんだけど、すげー丁寧にノートとってたから。ちょっと参考にしたくて…」
顔を傾け、困った表情を作る。
彼が、弟クンの困った表情に弱いのは確認済み。
だから、全く似てないが、少し弟クンを意識してやってみた。
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