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第39話

困り顔に効果があったのか、彼の表情が一気に変わった。 「え、あ、い、いいよ?」 慌てて古典のノートを差し出す彼。 俺とノートを交互に見ながら、少し照れている。 彼は、なんとなく俺と同じように、他人に壁を作っている。 そんな彼の、あまり見ない表情。 何その顔……可愛い。 俺の脈拍も一気に上がる。 少しだけ。 もう少しだけ。 彼に近づきたい。

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