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第66話
「じゃあ、また明日」
「うん、また明日」
「じゃーねー♪」
教室を出て別れの挨拶。
雅人の早めの出現により、彼と二人っきりの時間は短かったが、雅人の罰掃除がなければ、彼とのこの時間も無かった訳で。
総じて、雅人には感謝している。
とりあえず、やり直しのプリントを提出と思って、向きを変えようとしたとき、
「あ、寺島!」
彼に呼び止められた。
「ん?」
廊下から射す、少し燻った西陽が、彼の整った顔に陰影を作る。
「一緒に待っててくれてありがとう。部活頑張って」
その陰影が、最近俺に見せるようになった彼の表情を際立たせた。
……綺麗。
そう思った俺は、
「ああ」
"また恋してしまった"と、ただ頷くことしか出来なかった。
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